シールドビーム

シールドビームとは

シールドビーム（sealed beam lamp）は、レンズとリフレクターを一体化した白熱電球で、光を一方向に集中させるための特殊な構造を持っています。これは、発光フィラメントと不活性ガスが内部に封入されている点では従来の白熱電球と似ていますが、反射鏡とレンズが組み合わさることで、効率的に光を放射することができるのです。

特徴

シールドビームの特徴として、以下のような点が挙げられます。

長所

1. 長寿命と高輝度: 大型の電球構造がもたらすメリットから、従来の電球に比べて長寿命で高い輝度を実現します。
2. コスト効率の向上: 代替部品が不要となり、大量生産が可能なため、製造コストが削減されやすくなります。このため、自動車や鉄道車両のランプハウジングに取り入れられ、コスト削減に貢献しています。
3. 内部曇りの解消: レンズの内部に曇りが発生しにくく、クリーンな状態を保つことが可能です。
4. 簡便な交換: 特に自動車に使用される場合、シールドビームは樹脂レンズタイプよりも交換が容易で、手間を減らすことができます。
5. 劣化に強い: 完全密閉された構造により、外気の影響や紫外線による劣化が起こりにくく、劣化が見られた場合もシールドビーム全体の交換だけで済むため、メンテナンスが容易です。

短所

1. 一体交換の必要性: レンズとリフレクターが一体化しているため、電球寿命に伴う交換時には、これら全てを交換しなければなりません。これにより、部分的な破損の際でも全てを取り換える必要があり、コストが高くつくことがあります。
2. 部品費用の高騰: フィラメントだけが切れた場合には、シールドビーム全体を交換せざるを得ず、部品費が高額になる傾向があります。
3. 意匠性の欠如: 規格化された形状がゆえに、デザインの自由度が制約され、個性不足につながることがあります。

用途

シールドビームは特に自動車の照明に多く使われます。1940年から1983年までのアメリカでは、SAE規格への適合が義務付けられ、多くの車両に導入されました。しかし、その規格化により車両のデザインに制約がかかり、個性を失う要因ともなりました。その後、より高輝度で長寿命な白熱電球が普及したことから、近年では新車での採用が減少しています。

自動車用のシールドビームは、ハロゲンランプなどの技術の進歩により徐々に衰退しており、代替部品としてハロゲンバルブに切り替え可能な「セミ・シールドビーム」などが登場しています。また、鉄道車両向けにも使用されていましたが、こちらもHIDや高輝度LEDが普及したため、利用されることが少なくなっています。

まとめ

シールドビームは、自動車や鉄道において効率的でコストのかからない照明として長らく利用されてきましたが、技術革新に伴い、その役割に変化が見られています。特に、自動車業界では新しい照明技術に置き換わりつつあり、今後の動向に注目が集まっています。

もう一度検索