シール・ナイド・スラーネ

シール・ナイド・スラーネ（アイルランド語: Síl nÁedo Sláine、「アイド・スラーネの子孫」）は、南イー・ネールに属する有力な氏族です。その名は、アイルランド上王であるアイド・スラーネに由来します。彼らは、伝説的な人物であるニアル・マク・エヒダハ（「九人の人質を取った」ニアル）の息子、コナル・クレヴサネに血統を遡ると主張しています。

シール・ナイド・スラーネは、遠縁にあたるクラン・ホルマーンと並び、南イー・ネールにおける二大勢力でした。7世紀後半には隆盛を極め、タラ王（アイルランド上王）の座を独占するほどでした。

しかし、氏族内ではイー・ホニングやイー・ヘルニグといった支族への分裂と対立が繰り返され、徐々に衰退していきました。対照的に、一枚岩であったクラン・ホルマーンが勢力を拡大し、シール・ナイド・スラーネから権勢を奪い取っていきました。

アイド・スラーネとその子孫たち

シール・ナイド・スラーネの名祖であるアイド・スラーネは、598年から604年の間、ケネール・ネオガンのコルマン・リミドとともにアイルランド上王として共同統治を行いました。その後、彼の息子であるディアルマド（在位658–665年）、ブラートワク（在位658–665年、共同統治）、セフナサク（在位665–671年）、ケン・ファーラド（在位671–675年）、フィンフネフテ・フレダハ（在位675–695年）と、約40年弱の間、4代にわたりシール・ナイド・スラーネ出身者が連続して上王の座を占めました。

しかし、その後は南イー・ネールにおける権勢がコルマーン・モールの血を引くクラン・ホルマーンへと移ります。728年以降、アイルランド上王となったシール・ナイド・スラーネ出身者は、コンガラフ・クノグバ（在位944–956年）ただ一人でした。しかも、コンガラフ自身も、祖父と叔父にクラン・ホルマーンの王を持つ血縁者でした。

シール・ナイド・スラーネ内の主要な系族

アイド・スラーネは5人の息子を残し、彼ら全員がそれぞれ自身を祖とする一つ以上の系族を形成しました。

イー・ホニング (Uí Chonaing): コンガルの子孫の系族で、コンガルの息子コナン・クイッレに由来します。現在のノウスに相当するブレガ北部を支配し、キナイド・マク・イルガラグ (アイルランド上王：728年没)、キナエド・マク・コナイン (851年没)、コンガラフ・クノグバ (アイルランド上王：956年没) などの人物を輩出しました。

イー・ヘルニグ (Uí Chernaig): ディアルマドを祖とする系族で、ロッホ・ガヴォルに浮かぶクラノーグ (人工島) を本拠地として南ブレガを支配しました。ディアルマド・マク・アイド・スラーネの息子ケルナックから名付けられ、フォガルタフ・マク・ネイル (アイルランド上王：724年没) やコナル・マク・ケルナグ(Conall Grant、718年没) などの人物が知られています。

Uí Chinn Fháelad: アイド・スラーネの息子ブラートワクを祖とする系族で、その子であるセフナサクとケン・ファーラドは共に上王を務めました。アイド・スラーネの息子ドゥンハドの系族は、彼の息子であるフィンズネフタ・フレダハ以外に特筆すべき人物を輩出していません。また、シール・ドルーサグ (Síl nDlúthaig) という小さな系族は、アイド・スラーネの息子であるアリル・クルィティレの息子、ドルーサフから名付けられました。

参考文献

Irish Kings and High-Kings. Francis John Byrne. Four Courts Press. 2nd Revised Edition, 2001.
A New History of Ireland. Vol. I. Edited by Dáibhí Ó Cróinín. Oxford University Press, 2005.

関連項目

Slane - ミーズ県のタウン（関連地名）

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