ジェイソン1

ジェイソン1 (Jason-1)

ジェイソン1は、アメリカ航空宇宙局（NASA）とフランスの国立宇宙研究センター（CNES）による共同の海洋観測ミッションであり、海面高度を測定するために開発されました。この衛星は、海洋観測の先駆けとなったTOPEX/ポセイドン|TOPEX_ポセイドンの後継機として位置づけられています。名前は、ギリシア神話の英雄であるイアソンに由来しています。

概要

ジェイソン1は、2001年12月7日にデルタIIロケットによって打ち上げられ、地上から約1,336 kmの高さにある軌道を周回することになりました。この衛星は、66度の傾斜で112分ごとに地球を一周します。運用は2002年2月28日から開始され、TOPEX/ポセイドン|TOPEX_ポセイドンと同じ轨道で観測が行われました。両衛星の初期校正が実施され、TOPEX/ポセイドン|TOPEX_ポセイドンはジェイソン1の運行中に別の軌道に移動しました。ジェイソン1の観測周期はTOPEX/ポセイドン|TOPEX_ポセイドンと同じく10日間です。

2013年6月21日、ジェイソン1は地上との通信が途絶え、その後の復旧を試みましたが、通信は再開されず、運用は終了しました。発信機の予備系は2005年に故障していたため、衛星の復旧は不可能であると判断され、衛星は安全な状態に移行されました。

起動した搭載機器

ジェイソン1には多様な観測機器が搭載されています。例えば、CNESが提供するPoseidon 2という高精度のレーダ高度計は、CバンドとKuバンドを用いて衛星と海面間の距離を正確に測定します。また、DORIS（ドッペラー軌道地位決定統合システム）も搭載されており、軌道追跡や電離層の影響を補正するのに使われています。

NASAから提供された機器には次のようなものがあります。Jason Microwave Radiometer (JMR)は水蒸気量の測定に使用され、これにより水蒸気の補正が可能です。さらに、Laser Retroreflector Array (LRA)は衛星の軌道と高度情報を補正する役割を持っており、GPS受信機は地上の信号を受け取って軌道情報をより正確に改良します。

地球科学への応用

ジェイソン1ではレーダ高度計を使用し、海面に向けて発信したパルスが海面に反射して帰ってくる時間を計測して、衛星と海面との距離を算出します。それに水蒸気の補正を加えることで、正確な海面高度を得ることができます。海面の高さは海底の地形、特に海山に大きく影響されるため、これらのデータを利用して海底地形の分布を推知することが可能です。さらに、ジェイソン1から得られたデータは、海面流速や波高、地衡流といった海洋物理学に関連する重要な情報をもたらしました。特に、スマトラ島沖地震の際には、津波が発生したことも記録されていました。

後継機

ジェイソン1の後には、いくつかの後継機が打ち上げられています。2008年に打ち上げられたJason-2（OSTM）は、Jason-1と共同で観測を行い、2014年現在も運用されています。さらに、Jason-3は2015年に、SWOT（Surface Water and Ocean Topography）は2020年に打ち上げられる予定であり、これらのミッションはすべてNASAとCNESによって共同運営されています。特に、SWOTはJason-2と比較して観測精度が10倍になることが期待されています。

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