ジェイムズ・グラハム (初代モントローズ公爵)

初代モントローズ公爵ジェイムズ・グラハム

初代モントローズ公爵ジェイムズ・グラハム（James Graham, 1st Duke of Montrose、1682年4月 - 1742年1月7日）は、ステュアート朝末期からハノーヴァー朝初期にかけて活躍したスコットランドの貴族です。

生涯

彼は、ハノーヴァー家の王位継承とスコットランド王国とイングランド王国の連合を強く支持し、その功績が認められアン女王から「モントローズ公爵」の爵位を授与されました。1715年のジャコバイト蜂起の際には、政府側として鎮圧に尽力しました。

出生から1684年に父親が亡くなるまでは「グラハム卿」の儀礼称号を、その後1707年にモントローズ公爵に叙されるまでは「第4代モントローズ侯爵」の称号を使用していました。

若年期と教育

第3代モントローズ侯爵ジェイムズ・グラハムと、初代ロシズ公爵ジョン・レスリーの娘クリスチャンの長男として生まれました。1684年に父が亡くなると、遺言で指名された母親や第5代ハディントン伯爵チャールズ・ハミルトンら10人の家庭教師によって育てられました。しかし、ハディントンの死後、母親が再婚したことで家庭教師の権利を巡る争いが起こり、スコットランド民事控訴院によって家庭教師の権利が無効と宣告されました。この際、家庭教師の維持を主張した2人の裁判官がジェームズ7世によって罷免されるという出来事がありましたが、モントローズ自身はカトリックの影響を受けることはありませんでした。

地域への影響力強化

1702年、モントローズは初代レノックス公チャールズ・レノックスからダンバートンシャーの代官職、ダンバートン城の管理権、レノックスのRegality権などを購入し、地域への影響力を強めました。

公職

アン女王によって、1705年にはスコットランド海軍司令長官に、1706年にはスコットランド枢密院議長に任じられました。

スコットランドとイングランドの合同

モントローズは、周囲の反対を押し切り、プロテスタント（ハノーヴァー朝）によるスコットランド王位継承を強く支持しました。スコットランド王国とイングランド王国の合同に対する貢献が認められ、1707年にモントローズ公爵に叙されました。同年、最後のスコットランド議会において、最初のスコットランド貴族代表議員16人のうちの1人に選出され、その後も数度再選されています。

その後の政界での活躍

1709年にはスコットランド王璽尚書に任命されましたが、初代オックスフォード＝モーティマー伯ロバート・ハーレーのトーリー党政権に反対したため、1713年に解任されました。1714年にアン女王が崩御すると、新国王ジョージ1世によって摂政の一人に任じられ、その後スコットランド大臣としてチャールズ・タウンゼンド政権に加わりました。

1715年のジャコバイト蜂起の際には、政府側の支持を得て鎮圧に大きく貢献しました。彼はスコットランドの民政を担当し、乱後のスコットランド人の処罰が軽くなるよう尽力しました。1716年にはスコットランド国璽尚書に任命され、1733年に消費税法案を巡りロバート・ウォルポールと対立し解任されるまで務めました。また、1717年にはスコットランド枢密顧問官に列せられました。

その他の活動

1719年には王立音楽アカデミー社に出資しています。また、スコットランド貴族代表議員の選挙に対する政府の干渉に抗議し、1735年に他の貴族たちとともに嘆願書を発表しましたが、却下されています。

死去とその後

1742年1月7日にロンドンで亡くなり、パースシャー州に埋葬されました。爵位は息子の第2代グラハム伯爵ウィリアム・グラハムが相続しました。

モントローズは、1714年から亡くなるまでグラスゴー大学の総長を務め、図書館の建設にも貢献しました。グラスゴー大学には、彼の名前が刻まれた記念の門があります。また、1707年に王立協会フェローに選出されています。

家族

1702年に第3代ノーセスク伯爵デイヴィッド・カーネギーの娘クリスチャンと結婚し、多くの子をもうけました。

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