ジェイムズ・ハミルトン (初代ハミルトン卿)

初代ハミルトン卿ジェイムズ・ハミルトン：生涯とスコットランド政界への足跡

初代ハミルトン卿ジェイムズ・ハミルトン（James Hamilton, 1st Lord Hamilton、1410年ごろ – 1479年11月6日）は、15世紀のスコットランドにおいて、貴族、政治家として重要な役割を果たしました。彼の生涯は、当時のスコットランドの政治情勢と深く結びついており、ダグラス家との関係、国王ジェームズ2世への寝返り、そして王室との婚姻を通じて、ハミルトン家の勢力基盤を確立しました。

生い立ちと初期の活動

ジェイムズ・ハミルトンは、ジェイムズ・ハミルトン・オブ・カジューと妻ジャネット（初代リヴィングストン卿ジェイムズ・リヴィングストンの姉）の息子として、1410年ごろに誕生しました。1439年7月までに騎士爵に叙任され、1440年までにはスコットランド王ジェームズ2世の枢密顧問官に任命されています。1445年6月28日または7月3日には、世襲貴族であるハミルトン卿に叙せられました。

ダグラス家との関係と変遷

ハミルトン卿は、最初の結婚を通じてダグラス伯爵家と親密な関係を築きました。1450年には、第8代ダグラス伯爵ウィリアム・ダグラスとともにローマへ赴き、教皇ニコラウス5世にハミルトンの教区教会を協同教会に変更するよう請願しています。この請願は受け入れられ、1462年には司祭長が任命されました。また、1460年1月にはグラスゴーの領地をグラスゴー大学へ寄贈し、1476年以前にはショッツ教区（現在のノース・ラナークシャーの一部）に教会と病院を建設しました。

国王への寝返り

しかし、宮廷内での権力争い、特にリヴィングストン家やクライトン家の台頭、そして1452年2月に第8代ダグラス伯爵がジェームズ2世によって殺害されたことは、ハミルトン卿と国王の関係に暗い影を落としました。ハミルトン卿は、第9代ダグラス伯爵ジェイムズ・ダグラスらとともに抗議文を提出しましたが、1455年3月にはジェームズ2世が突如出兵し、ハミルトン卿はアバコーン城で包囲される事態となりました。その後、ハミルトン卿は国王側に寝返り、ロスリン城に短期間投獄された後、1455年7月1日にラナークシャー州長官の世襲職を与えられました。この寝返りの背景には、ダグラス伯爵の優柔不断さや、母の弟であるリヴィングストン卿の説得があったとされています。

その後の活動と晩年

1457年初めより、ハミルトン卿は第4代アンガス伯爵ジョージ・ダグラスの庇護を受けるようになります。1460年にジェームズ2世が死去すると、ハミルトン卿は一時的に宮廷に出入りするようになりました。1461年から1472年にかけては、イングランド王国への使節として数度派遣されています。1479年11月6日に死去し、爵位は息子のジェイムズが継承しました。

家族構成

ハミルトン卿は、ジャネット・マクスウェルとの婚約が破談になった後、1441年2月25日にユーフェーム・ダグラス（第5代ダグラス伯爵アーチボルド・ダグラスの未亡人）と結婚し、一女をもうけました。その後、1474年2月/3月ごろにスコットランド王ジェームズ2世の娘メアリー・ステュアート（初代アラン伯爵トマス・ボイドの元妻）と再婚し、二人の間には一男一女が生まれました。また、複数の庶子も存在しました。

初代ハミルトン卿ジェイムズ・ハミルトンの生涯は、当時のスコットランド社会における権力構造と政治的駆け引きを反映しており、彼の行動はハミルトン家の将来に大きな影響を与えました。

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