ジェシー・バーケット

ジェシー・カイル・バーケット：伝説の巧打者

ジェシー・カイル・バーケット（Jesse Cail Burkett, 1868年12月4日 - 1953年5月27日）は、アメリカ合衆国ウェストバージニア州出身のプロ野球選手。左投げ左打ちの外野手として、1890年代にその名を轟かせました。ニックネームは"Crab"（カニ）。

野手転向と打撃開花

1890年、バーケットはインディアナポリス球団からニューヨーク・ジャイアンツに昇格。当初は外野手と投手を兼任していました。打撃では3割を超える成績を残すも、投手としては結果を残せず、翌年クリーブランド・スパイダーズへ移籍します。

転機となったのは1893年、投手-本塁間の距離に関するルール改訂です。このルール変更を機に、バーケットは得意のバントを効果的に活用し、安打を量産するようになります。以降、9年連続で打率.340を超えるという驚異的な記録を打ち立てました。

1895年には225安打、打率.405でリーグトップの成績を記録。翌1896年には、240安打、打率.410と、2年連続で打率4割超えを達成し、最多得点でもリーグ1位に輝きました。

アメリカンリーグでの活躍と晩年

1899年、バーケットは現在のカージナルスへ移籍。1901年のアメリカンリーグ創設時には、打率.376で自身3度目の首位打者を獲得します。この年も1896年と同様に、最多得点と最多安打（226安打）でリーグトップとなりました。

1902年、セントルイス・ブラウンズ（現ボルチモア・オリオールズ）へ移籍しますが、この年に2ストライク後のバントによるファウルがアウトとみなされるルールが導入されます。このルール変更により、バーケットの打撃成績は3割前後に低下し、ブラウンズでは目立った活躍を見せることはできませんでした。1905年にレッドソックスへ移籍後、同年引退。

殿堂入りと遺産

1946年、ベテランズ委員会によりアメリカ野球殿堂入りを果たしました。1953年、マサチューセッツ州でその生涯を閉じましたが、彼の残した功績は今もなお語り継がれています。

記録と特徴

首位打者：3回（1895、1896、1901年）
打率.400超：2回（1895年(.405)、1896年(.410)）
通算ランニングホームラン数：55（史上1位）
シーズン200安打以上：6度

特筆すべきは、通算ランニングホームラン数55本というメジャーリーグ記録です。これは、彼の俊足と積極的な走塁の賜物と言えるでしょう。ルール変更に苦しみながらも、常に新たな道を模索し、野球史に名を刻んだジェシー・カイル・バーケット。そのプレースタイルは、現代野球にも通じる革新的なものでした。

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