ジェトゥリオ・ドルネレス・ヴァルガス

ジェトゥリオ・ドルネレス・ヴァルガス

生涯と経歴

ジェトゥリオ・ドルネレス・ヴァルガス（Getúlio Dornelles Vargas）は1882年4月19日にブラジルのリオグランデ・ド・スル州にあるサン・ボルジャで生まれました。彼の父は軍人であり、政治家としても知られるマヌエル・ヴァルガスでした。若い頃、リオ・パルドの士官学校に進学したものの卒業を目前に退学し、ポルトアレグレの法科大学に転校。そこで法学を学び、卒業後は一時期検察官として働くが、すぐに故郷に戻り政界に身を投じることになります。

1911年にダルシー・リマ・サラマーニョと結婚。その後、州議会議員や連邦議会議員を経て、1926年から1927年には大蔵大臣、1928年から1930年まではリオグランデ・ド・スル州知事として活躍しました。1930年の大統領選挙では、前サンパウロ州知事のジュリオ・プレステスに敗れるも、政治腐敗に対する不満を背景に軍事クーデターを起こし、権力を掌握します。

政治的影響と政策

これにより、カフェ・コン・レイテ時代と呼ばれる寡頭支配体制は終わりを迎えました。サンパウロ州の反乱を制圧し、1934年には議会から正式に大統領に就任。彼は中央集権的でファッショ色の強い新憲法を制定し、国家の統一を目指す姿勢を打ち出しました。この時、共産党の活動は果敢に取り締まられ、彼の統治体制が確立されたのです。

1937年には選挙を中止し、独裁体制を築くことになります。この時期をエスタード・ノーヴォ体制と称し、ブラジル統合主義運動などの過激派も制圧しました。彼は労働者保護や国有化政策を進める一方で、全体主義的な外交政策も採用し、アメリカとの関係を深める外交を展開しました。

1942年には、第二次世界大戦において日本やドイツ、イタリアに対して宣戦布告し、ブラジルを戦争に巻き込むことになります。ヴァルガスの独裁体制は戦争中も続きましたが、終戦後の1945年に軍事クーデターにより失脚し、同年中に上院議員に選出されました。

再登場と最期

1951年、ヴァルガスはブラジル史上初めての民主的選挙で再び大統領に就任します。この時期、彼は都市の労働者や左翼からの支持を取り込むことに成功しましたが、経済状況の悪化と共に支持は減少。政権末期には国民解放党に接近し、アメリカとの対立が深まる中、様々な訴訟や疑惑が彼の周囲に浮上しました。

1954年には彼に対する退陣要求が高まり、最終的にヴァルガスは自ら命を絶つことになります。彼の死はブラジルの政治史に深い影響を与えました。

エピソード

ヴァルガスはブラジルの音楽界にも影響を与えました。エドゥ・ロボやシコ・ブアルキの楽曲『Dr. Getulio』では、彼のイメージが語られ、国民からの支持が描写されています。また、1938年にグアナバラ宮殿が襲撃された際には、自ら進んで銃を持ち応戦したエピソードも残されています。

彼の肖像は1962年より発行された旧10クルゼイロ紙幣にも使用され、また入学資格の関係で生年を偽ったエピソードも知られています。ヴァルガスは、ブラジルの政治と社会において、強い影響を与えた人物の一人として評価されています。

もう一度検索