ジェネアロジー

ジェネアロジーは、ユーロビジョン・ソング・コンテスト2015でアルメニアを代表するために結成された、ユニークな背景を持つスーパーグループです。このグループは、アルメニア人虐殺の100周年という歴史的な節目に結成され、そのメンバー構成は、アルメニアの歴史とディアスポラ（離散）を象徴するものとなっています。

グループのメンバーは、アルメニア本国出身のインガに加え、アルメニア系フランス人のエッサイ・アルトゥニャン、アルメニア系アメリカ人のテイマー・カプレリャン、アルメニア系エチオピア人のバヘ・ティルビャン、日本在住のアルメニア系アメリカ人のステファニー・トパリャン、アルメニア系オーストラリア人のメアリー＝ジーン・オドハティ・バスマジャンの計6名で構成されています。特筆すべきは、6人のメンバーのうち5人が、1915年のアルメニア人虐殺後に小アジアを離れたアルメニア人の子孫であるという点です。これは、グループが単なる音楽ユニットではなく、アルメニアの歴史と文化を体現する存在であることを示しています。

ジェネアロジーがユーロビジョン・ソング・コンテスト2015で披露した楽曲は「Face The Shadow」です。この曲は、当初「Don't Deny」というタイトルで発表されました。しかし、アルメニア人虐殺の否定を批判する内容が政治的すぎると判断されたため、タイトルが変更されました。「Face The Shadow」というタイトルには、歴史の暗部に目を向け、真実と向き合うという意味が込められています。

2015年4月28日には、海外出身のメンバー5名が、当時のアルメニア大統領セルジ・サルキシャンからアルメニアのパスポートを授与されました。この出来事は、アルメニア政府がディアスポラとの繋がりを重視し、彼らをアルメニア国民として歓迎する姿勢を示したものとして評価されています。

ジェネアロジーの活動は、音楽を通じてアルメニアの歴史と文化を世界に発信するだけでなく、ディアスポラとアルメニア本国との絆を深めるという重要な役割を果たしました。彼らのパフォーマンスは、ユーロビジョン・ソング・コンテストという舞台を通じて、多くの人々にアルメニアの歴史と文化、そして普遍的な平和への願いを伝えるものとなりました。

もう一度検索