ジェミニ天文台

ジェミニ天文台：世界規模の天文学研究拠点

ジェミニ天文台は、アメリカ、イギリス、カナダ、チリ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルによる国際共同プロジェクトとして運営される天文台です。ハワイ島のマウナケア山と、チリのパチョン山という、それぞれ北半球と南半球を代表する観測に適した場所に、口径8メートルの巨大な光学赤外線望遠鏡を1基ずつ設置しています。この南北2ヶ所の望遠鏡によって、全天の天体を観測できるという大きな利点を有しています。各国の出資比率に応じて観測時間が割り当てられ、世界中の天文学者にとって貴重な研究拠点となっています。

ジェミニ北天文台 (ハワイ)

ハワイ島のマウナケア山、標高4213m地点に位置するジェミニ北天文台は、1999年に観測を開始しました。マウナケア[[天文台群]]の一員として、優れた観測環境を活かした研究が行われています。

搭載されている観測装置は多岐に渡り、可視光から近赤外線、中間赤外線まで幅広い波長での観測が可能です。具体的には、ジェミニ多天体分光装置(GMOS)、近赤外撮像装置(NIRI)、近赤外分光装置(NIFS)、中間赤外線分光撮像装置(Michelle)、補償光学装置(ALTAIR)、スペックル撮像装置(`Alopeke)などが挙げられます。これらの装置は、世界各国の研究機関が開発・提供しており、国際協力の成果を象徴しています。特に`Alopekeは、空間解像度の高い観測を可能にする装置として注目されています。

ジェミニ南天文台 (チリ)

チリのパチョン山、標高2722m地点にあるジェミニ南天文台は、2000年に観測を開始しました。アメリカ国立光学[[天文台]]のセロ・トロロ汎米天文台に隣接しており、乾燥した気候と大気中の水蒸気の少なさから、赤外線観測に最適な環境です。赤外線は水蒸気によって吸収されやすい性質があるため、この条件は非常に重要な利点となります。ジェミニ南天文台にも、ジェミニ北天文台と同様の高度な観測装置が備えられています。

技術と運営

ジェミニ望遠鏡の主鏡には、高い赤外線反射率を持つ銀メッキが施されています。また、コンピュータネットワークによる遠隔操作が可能なため、世界中から効率的に観測を行うことが可能です。ドーム上部は、外気温とドーム内気温の差による空気の揺らぎを抑制するために、観測中は持ち上げられる構造になっています。これは、天体観測における画像の歪みや解像度の低下を防ぐための工夫です。

建設費用は南北両天文台合わせて1億8400万ドルにも上り、一晩の運用費用は約4万ドルと高額です。予算の確保は継続的な課題であり、イギリスが一時的にプロジェクトからの脱退を検討したこともありました。しかし、観測時間の売却などによる予算確保策が講じられ、現在は存続が維持されています。

ジェミニ天文台の意義

ジェミニ天文台は、国際協力によって実現した大規模な天文観測施設です。南北両半球での観測体制、高度な観測装置、そして優れた観測環境を組み合わせることで、天文学研究に大きな貢献をしています。今後も、宇宙の謎を解き明かす上で重要な役割を果たしていくでしょう。

もう一度検索