ジェモミスウ (イノヴロツワフ公)

ジェモミスウ：クヤヴィ公国の支配者

ジェモミスウ（Ziemomysł inowrocławski）は、1245年頃から1287年まで生きたポーランドの公であり、特にイノヴロツワフ公国での治世が知られています。彼はクヤヴィ公カジミェシュ1世の次男であり、母はヒルチニクのコンスタンツィアという後妃でした。兄のレシェク2世と共に育った彼は、当時の複雑な政治情勢の中で数々の試練に直面しました。

幼少期と家族の背景

ジェモミスウの母、コンスタンツィアは、1257年2月21日に早逝しました。彼女の死後、父カジミェシュ1世は再婚し、新たな妻エウフロジナとの間に4人の子供をもうけますが、このことでジェモミスウとレシェク2世は相続問題に関与することとなるのです。エウフロジナは、彼女の子供たちにクヤヴィ公国を相続させるべく、義理の息子たちを排除しようと試み、その結果として、二人の襲撃を計画するも失敗に終わりました。

政治的な挑戦と戦い

1267年に父が亡くなると、ジェモミスウはイノヴロツワフを中心としたクヤヴィ公国を相続しましたが、兄のレシェクがクラクフ公の地位を有することから、彼の領地は小規模なものでした。彼の治世の間、ジェモミスウはボヘミア王オタカル2世の庇護を受け、リトアニア人に対する十字軍遠征の拠点として彼の公国が機能することに成功しました。しかし、外交政策が原因で内部反乱を招いてしまいます。これは、ドイツ騎士団との提携や、ポモジェのトチェフ公サンボル2世からの支援が領民の反発を引き起こしたためです。

反乱者たちはボレスワフという公に救援を求め、これによりジェモミスウの公国は攻撃を受けましたが、彼は反撃を成功させ、公国の支配権を取り戻します。

1271年にはポモジェのグダニスク公国における戦争に参加し、舅であったサンボル2世の同盟者として活躍しましたが、再びボレスワフに攻め込まれてしまい、今度は敗北を喫し亡命を余儀なくされることになります。その後、徐々にクヤヴィを取り戻し、1278年には復帰を果たしました。この間、彼はドイツ人の助言者たちを遠ざけるように要請されるなど、いくつかの厳しい要求にも直面しました。

晩年と子どもたち

その後、彼はラジェユフを再獲得することに成功し、1284年には兄レシェクの政策変更によってドイツ騎士団との関係が悪化しますが、その詳細は明確ではありません。彼はまた、グニェフコヴォの住民たちに都市としての特権を与え、彼らの支持を得るよう努めました。

ジェモミスウは1287年の終わりにこの世を去りますが、その正確な埋葬地は不明とされています。ただし、おそらくは公国の首都であるイノヴロツワフに埋葬されたと考えられています。生前、サロメアという女性と結婚し、彼らの間には6人の子供が生まれました。彼の子供たちもまた、歴史の中で重要な役割を果たすことになります。

彼が生き抜いた時代は多くの戦乱と政治的陰謀が渦巻くものでしたが、彼の治世はクヤヴィ公国にとって注目すべきものでした。

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