ジェリーフィッシュ (バンド)

ジェリーフィッシュ (Jellyfish)

ジェリーフィッシュは、1990年代のパワー・ポップシーンで特に注目を集めたアメリカのロックバンドです。サンフランシスコで1989年に結成され、わずか二枚のアルバムを残して解散するという儚い運命を持ちながらも、その音楽は多くのファンの心に刻まれています。

来歴

結成からデビューまで

バンドの中心メンバーは、アンディ・スターマーとロジャー・マニングの二人です。この二人は高校時代の同級生であり、1980年代後半には「ビートニク・ビーチ」というバンドで共に活動していました。その後、ギタリストとしてロジャーの旧友であるジェイソン・フォークナーが加入し、本格的なレコーディングを開始しました。

ジェリーフィッシュは1990年にデビューアルバム『ベリーバトゥン』をリリースしました。このアルバムは、ビートルズやエルトン・ジョン、クイーンといった著名アーティストの影響を受けたポップな作風で注目を集め、シングル「ベイビーズ・カミング・バック」はBillboard Hot 100で62位を記録しました。その成功を受けて、ツアーにはロジャーの兄、クリス・マニングがベーシストとして参加しました。

セカンドアルバムと解散

しかし、その後のツアーを終えた後、ジェイソンはギタリストとしての役割に不満を持ちバンドを去ることに。一方、ツアーの疲れを理由にクリスも脱退しました。新しいアルバムの制作のためにティム・スミスがベースに加わるも、ギタリストがいない状態でレコーディングが始まりました。その結果、1993年にはセカンドアルバム『こぼれたミルクに泣かないで』が完成しました。この作品はコーラスワークとストリングスを駆使したパワーポップの名盤として評判を呼び、ツアーにはエリック・ドーヴァーが新しいギタリストとして参加しました。

初来日も果たし、日本のファンを熱狂させる一方で、バンドは1994年に解散を発表します。その背景には、アンディとロジャーの音楽的な方向性の違いがあったとされ、アンディも後に「プロデュース過多の印象が強い」などと述べています。

解散後の活動

解散後、メンバーはそれぞれの道を歩み始めました。アンディ・スターマーはパフィーを名付け、アルバムの制作にも関与し、奥田民生とのコラボやYUKIへの楽曲提供を通じて日本の音楽シーンに深く関わりました。ロジャー・マニングは新しいバンドを結成後、2005年にソロアルバムを発表し、My Little Loverに楽曲を提供しました。ジェイソン・フォークナーはソロアーティストとしても成功を収めながら、さまざまなアーティストとコラボレーションを行いました。

また、エリック・ドーヴァーはスラッシュのソロプロジェクトに参加した後、自身のバンドを結成しました。そして、2003年頃からはロジャーとジェイソンが再び組み、ユニット『TV Eyes』を結成。2006年にはデビューアルバムもリリースされました。

メンバー

• - アンディ・スターマー: リード・ボーカル、ドラム、ギター、キーボード （1989年 - 1994年）
• - ロジャー・マニング: ボーカル、ピアノ、キーボード、ギター （1989年 - 1994年）
• - ジェイソン・フォークナー: ギター、ベース、バッキングボーカル （1989年 - 1991年）
• - クリス・マニング: ベース、バッキング・ボーカル （1990年 - 1991年）
• - ティム・スミス: ベース、バッキング・ボーカル （1992年 - 1994年）
• - エリック・ドーヴァー: ギター、バッキング・ボーカル （1992年 - 1994年）

ディスコグラフィ

• - スタジオアルバム

- 『ベリーバトゥン』 (1990)
- 『こぼれたミルクに泣かないで』 (1993)

• - コンピレーション

- 『ニュー・ミステイク & デモ・トラックス』 (1994)
- 『ベスト！』 (2006)

• - ライヴ盤

- 『Live at Bogart's』 (2012)

• - ボックスセット

- 『ファンクラブ』 (2002)

ジェリーフィッシュの音楽は、時を経てもなお、多くの人々に愛され続けています。

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