ジェルボアーズ・ブルー

ジェルボアーズ・ブルー（Gerboise Bleue）

ジェルボアーズ・ブルーとは、1960年2月13日に実施されたフランス共和国初の核実験の名称です。この実験はアルジェリア戦争の真っ只中、サハラ砂漠の中心部に位置するアルジェリアで行われました。フランスの原子爆弾の開発を主導したピエール・マリ・ガロワ将軍は、「原爆の父」として知られています。

実験のコードネーム「Gerboise」は、この地域に生息するトビネズミの名前に由来し、「Bleue（青）」はフランス国旗の色を表しています。さらに、実験に続いて行われた二回目と三回目の核実験はそれぞれ「白（Gerboise Blanche）」と「赤（Gerboise Rouge）」と名付けられました。

核実験の意義と影響

ジェルボアーズ・ブルーの実施により、フランスは米国、ソ連、英国に次いで、4番目の核兵器保有国となりました。この実験では70キロトンという膨大なエネルギーが発生し、当時行われた他国の最初の核実験に比べても最大の出力を誇りました。例えば、アメリカのトリニティ実験は20キロトン、ソ連のRDS-1は22キロトン、英国のハリケーンは25キロトンでした。そして、長崎に投下された「ファット・マン」の出力が22キロトンであったことを考えると、ジェルボアーズ・ブルーの威力の凄まじさが際立ちます。

フランス軍は、核出力が60から70キロトンに収まるよう計画していましたが、ジェルボアーズ・ブルーはその期待に見事応えました。その後も、フランスはアルジェリアのサハラ砂漠内で17回にわたり原爆実験を実施しましたが、その中には更に強力な「ルビー（Rubis）」実験や「サファイア（Saphir）」実験がありました。それぞれ100キロトン以下、150キロトン以下の出力が記録されています。

国際社会の反応

国際的な反響は大きく、フランスの核実験に対して多くの国や団体から厳しい批判が寄せられました。このため、フランスは以降、大気中での実験を中止し、地下核実験へと方針を転換しました。特に1961年4月の第4回目の実験では、日本やソ連、エジプト、モロッコ、ナイジェリアなど、複数の国から抗議が行われました。

さらに、ジェルボアーズ実験が続く中で、ソ連は1961年9月から136回にわたる水素爆弾の改良実験を再開しました。これは、フランスが核保有国となったことに対する反応とされ、米国もまた独自の核実験を再開することになりました。

映画『ジェルボアーズ・ブルー』

このような歴史的背景を持つジェルボアーズ・ブルーに基づいて、2009年にフランスでドキュメンタリー映画が公開されました。この映画では、核実験に関与した元軍人や、その際の影響を受けたアルジェリアの人々の視点が描かれています。特に、広島や長崎の原爆と比較したうえで、フランス最初の核実験の実態が掘り下げられています。実験の記録や影響を再評価しようとする試みとして、重要な作品となっています。

まとめ

ジェルボアーズ・ブルーは、冷戦時代における国際的な核兵器戦争の一環として、歴史に深い影響を与えました。この実験は、今もなお多くの議論を呼び起こしており、核兵器に対する倫理的な問題やその影響が如何に広範であるかを考慮させられる事例と言えるでしょう。

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