ジェレミー・アボット

ジェレミー・アボット：アメリカを代表するフィギュアスケート選手

ジェレミー・アボットは、1985年6月5日、コロラド州アスペン生まれの元アメリカ代表男子シングルフィギュアスケート選手です。2014年ソチオリンピック団体戦では銅メダルを獲得、2010年バンクーバーオリンピックアメリカ代表として出場するなど、数々の国際大会で活躍しました。全米選手権では4度の優勝（2009年、2010年、2012年、2014年）、2008年にはグランプリファイナルで優勝するなど、アメリカフィギュアスケート界を牽引する存在でした。

幼少期から才能を開花

2歳でスケートを始め、4歳の頃にはアイスショーで見たロビン・カズンズの演技に感銘を受け、本格的にフィギュアスケートを始めます。才能豊かなアボットは、ノービス時代にはシングルだけでなくアイスダンスやペアにも挑戦。1998-1999シーズンにはブリタニー・ヴァイスとペアを組み、競技に出場しました。1999年には練習拠点をコロラドスプリングスのワールドアリーナに移し、2008-2009シーズンまではトム・ザカライセックに師事しました。

その後、シングルに専念することを決意。2001-2002シーズンに全米選手権ノービスクラスに初出場を果たします。2003年には腰椎骨折という大きな怪我に見舞われ、約4ヶ月間リンクから遠ざかりましたが、2005年の全米選手権ジュニアクラスで優勝、持ち前の才能と努力で克服しました。しかし、シニア初年度である2005-2006シーズンは中西部予選で5位に終わり、全米選手権出場を逃すという苦い経験もしています。

国際舞台での活躍と苦難

2006-2007シーズンからは、フィンランディア杯優勝、全米選手権4位入賞と着実に実力をつけ、2007-2008シーズンからはISUグランプリシリーズに参戦。怪我で欠場したエヴァン・ライサチェクの代役として世界選手権に出場しました。2008-2009シーズンには、中国杯でアメリカ男子シングル史上最高得点を記録し、GPファイナルではアメリカ男子シングル選手として初優勝を果たします。全米選手権でも初優勝を飾り、トップ選手としての地位を確立しました。

2009-2010シーズンには全米選手権で2連覇を達成し、バンクーバーオリンピックと世界選手権の代表に選ばれます。バンクーバーオリンピックでは9位、世界選手権では5位と健闘しました。しかし、続く2010-2011シーズンは靴の問題などもあり不調で全米選手権4位に終わり、世界選手権代表を逃します。

その後も、怪我やアクシデントに見舞われながらも、全米選手権で2012年、2014年と優勝を果たします。2014年ソチオリンピック団体戦では銅メダルを獲得するなど、国際舞台でも活躍を続けました。しかし、2014-2015シーズン以降は、思うように結果が出せず、2017年6月22日に引退を発表しました。

社会貢献活動とプライベート

アボットは、全米選手権ジュニアクラス優勝後、自身がスケートを始めたアスペン・スケーティングクラブの子どもたちを支援する基金を設立するなど、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。2015年には実父をパーキンソン病で亡くし、父の闘病中から始めたパーキンソン病の治療法発見・患者支援活動にも現在も参加しています。2020年にはゲイであることを公表しました。

アボットは、幼少期からの才能、類まれな努力、そして困難を乗り越える強い意志で、アメリカフィギュアスケート界に大きな足跡を残しました。彼の功績は、競技での成果だけでなく、社会貢献活動や自身の経験を通じたメッセージにも表れています。彼のスケート人生は、多くのフィギュアスケートファンに感動と勇気を与え続けています。

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