ジェロニモ・デ・ジェズス

ジェロニモ・デ・ジェズス・デ・カストロは、生年不詳ながら1601年に没した、江戸時代初期に日本で宣教活動を行ったフランシスコ会の宣教師、神父です。彼はポルトガル出身でしたが、スペイン人として活動したため、ヘロニモ・デ・ヘススとも呼ばれていました。

来日から追放、そして再来日

1594年（文禄3年）に平戸に到着したカストロは、長崎や京都などで精力的に布教活動を展開しました。しかし、1597年（慶長2年）に豊臣秀吉による二十六聖人の殉教事件が発生すると、カストロもマニラへと追放されることとなります。それでも日本での布教を諦めなかったカストロは、1598年（慶長3年）に密かに再来日を果たしました。

徳川家康との関係

秀吉の死後、新たに権力を握った徳川家康にカストロは接近します。当時、家康はフィリピンやブラジルとの貿易を企図しており、カストロの仲介に期待を寄せました。カストロは家康の意向を汲み、1599年には江戸に教会建設の許可を得て、関東地域におけるキリスト教布教に大きく貢献しました。また、1600年にはマニラへ戻り、貿易の仲介役としても活動しました。

最期

翌1601年に再び日本へ戻りますが、その年のうちに京都で客死しました。彼の死は、日本におけるキリスト教の歴史において、一つの時代の終わりを告げる出来事となりました。

カストロは、激動の時代において、キリスト教の布教と貿易の仲介という二つの役割を担い、日本と海外との関係に大きな影響を与えた人物として記憶されています。

参考文献：

『日本人名大辞典』講談社
『世界大百科事典』平凡社

もう一度検索