ジェンダー不平等指数

ジェンダー不平等指数（GII）とは？

ジェンダー不平等指数（Gender Inequality Index、GII）は、国連開発計画（UNDP）が作成した、世界各国のジェンダー格差を測る指標です。2010年の『人間開発報告書』で初めて導入され、それ以前のジェンダー・エンパワーメント指数を改良発展させたものです。女性の健康、教育、経済活動といった多様な側面を考慮し、より包括的な評価を目指しています。

GIIは、0から1までの数値で表されます。0は完全な男女平等、1は極度の男女不平等を示します。数値が低いほど、ジェンダー平等度が高いことを意味します。

経済平和研究所の研究によると、GIIは世界平和度指数と高い相関関係を示すことが分かっています。これは、ジェンダー平等が社会全体の平和と安定に大きく貢献することを示唆しています。そのため、GIIは国際的な平和度指数を構成する要素としても用いられています。

GIIの算出方法

GIIは、以下の3つの主要な側面における男女間の不平等を数値化して算出されます。

1. リプロダクティブ・ヘルス（性と生殖に関する健康）: 妊産婦死亡率と15～19歳の女性1000人当たりの出産数を指標として、女性の健康状態と妊娠・出産におけるリスクを評価します。
2. エンパワーメント: 女性の政治参加（立法府における女性の議席数）と教育水準（中等・高等教育の達成度）を指標として、女性の社会的地位や意思決定への参加度を評価します。
3. 労働市場への参加: 女性の就労率を指標として、経済活動への参加状況を評価します。

それぞれの側面における男女間の格差を数値化し、それらを総合的に評価することで、GIIが算出されます。

GIIと類似指標

GIIと同様に、ジェンダー格差を測る指標として、以下のようなものがあります。

ジェンダー開発指数（GDI）: UNDPが発表する、女性の健康、教育、経済参加に関する指数。GIIと同様に、男女間の格差を評価する指標ですが、GIIよりも女性の達成度そのものに焦点を当てている点が異なります。
ジェンダー・ギャップ指数（GGI）: 世界経済フォーラムが発表する、経済、教育、健康、政治の4分野における男女間の格差を評価する指標。GIIと比較して、より幅広い分野を網羅している点が特徴です。

これらの指標は、それぞれ異なる視点からジェンダー格差を評価しており、それぞれの指標の特徴を理解した上で、総合的にジェンダー平等状況を分析する必要があります。

GIIの活用

GIIは、世界各国のジェンダー平等状況を比較・分析するために活用されます。各国政府や国際機関は、GIIのデータに基づいて、ジェンダー平等政策の策定や効果測定を行うことができます。また、GIIは、市民社会団体や研究者にとっても、ジェンダー平等問題に関する啓発活動や研究活動を行う上で貴重な情報源となります。

GIIは、単なる数値指標ではなく、ジェンダー平等の実現に向けた取り組みを促進するための重要なツールとして、今後も広く活用されていくことが期待されます。

まとめ

ジェンダー不平等指数（GII）は、女性の健康、教育、政治参加、経済活動など、多様な側面からジェンダー格差を評価する包括的な指標です。世界各国の状況を比較し、ジェンダー平等政策の策定や効果測定に役立ちます。GIIと類似の指標も存在しますが、それぞれ異なる視点からジェンダー格差を評価しており、総合的に判断することが重要です。今後も、GIIはジェンダー平等の実現に向けて重要な役割を果たしていくでしょう。

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