ジェームズ・ピュアフォイ

ジェームズ・ピュアフォイ：波乱万丈の俳優人生

ジェームズ・ブリアン・マーク・ピュアフォイ。1964年6月3日、イギリスのサマセット州トーントンに生まれた彼は、俳優として世界的な名声を得るまで、決して平坦ではない道を歩んできました。裕福な家庭に育ったわけではなく、幼少期を過ごしたトーントンから、寄宿学校であるシェルボーン校へ進学しますが、高校卒業資格を取得すると中退。その後は養豚場や病院などで働きながらヨーロッパを放浪するなど、自由奔放な青年時代を過ごします。

しかし、夜間学校で大学入学資格を取得したことをきっかけに、演劇の世界へと足を踏み入れます。ロンドンのセントラル演劇学校で演技を学び、学費を稼ぐために病院の清掃員として働く日々を送るなかで、労働組合や社会主義運動にも関与するなど、社会的な活動にも熱心に取り組んでいました。

演劇学校卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに参加。シェイクスピア劇の舞台で経験を積み重ね、その後はテレビドラマにも出演するようになります。ITVの『シャーロック・ホームズの冒険』や、『A Dance to the Music of Time』などに出演し、着実にキャリアを築き上げていきます。映画『ROCK YOU!』や『バイオハザード』などにも出演、さらにはジェームズ・ボンド役のスクリーン・テストを受けるなど、多様な役柄に挑戦しています。

しかし、ピュアフォイは舞台活動を軸に活動していたため、一般の知名度は高くありませんでした。転機となったのは、2005年から2007年にかけて放映された歴史ドラマ『ROME』への出演です。彼はこの作品で主人公の一人であるマルクス・アントニウスを演じ、その魅力的な演技で世界中から高い評価を獲得しました。傲慢で女好きだが、繊細さも併せ持つアントニウス像は、ピュアフォイの代表作の一つとなりました。

『ROME』での成功の後も、彼は精力的に活動を続けます。2009年にはNBC制作のテレビドラマ『フィランソロピスト』で主演を務め、2011年にはテレンス・ラティガン生誕100周年記念公演である舞台『夜の滑走路』に出演するなど、舞台とテレビドラマの両面で活躍を続けました。

一方で、ピュアフォイの私生活も注目を集めました。1997年にはイギリスのテレビ雑誌で「セクシーな男」に選ばれるなど、人気を博しました。また、映画『Vフォー・ヴェンデッタ』に出演するものの、撮影途中で降板するというエピソードも残っています。このときは、仮面をつけた役柄だったこともあり、撮影済みのシーンはそのまま使用され、声を吹き替えられたという、異例の事態となりました。

女優のホリー・エアードと結婚し、息子をもうけましたが、離婚。女優フェイ・リプリーとの長期にわたる同棲など、私生活でも多くの経験を積んできました。

ジェームズ・ピュアフォイは、決して順風満帆とはいえない人生のなかで、役者として、そして一人の人間として成長を遂げてきました。彼の演技は、その経験の深みと、人間味あふれる表現力によって支えられているといえるでしょう。彼の今後の活動にも期待が高まります。

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