ジギー・スターダスト

『ジギー・スターダスト』（The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars）は、デヴィッド・ボウイの5枚目のアルバムであり、1972年6月16日にRCAレコードからリリースされました。このアルバムは、グラムロックの代表作として、ボウイのキャリアにおいて重要な位置を占めています。

コンセプトとストーリー

アルバムのコンセプトは、5年後に資源が枯渇し人類が滅亡に向かう世界で、救世主として異星からやってきたバイセクシャルのロックスター「ジギー・スターダスト」の物語です。ジギーという名前はイギー・ポップから、スターダストはテキサスのミュージシャン、レジェンダリー・スターダスト・カウボーイから取られています。ボウイは自らをジギーという架空のスーパースターとして演じ、ロックスターとしての成功と没落を描いています。

音楽性と影響

このアルバムは、ボウイがそれまでに経験してきた音楽、演劇、絵画、パントマイム、そして日本の歌舞伎といった要素を融合させた、革新的な作品です。妖艶さと狂気を兼ね備えたジギーのキャラクターは、ボウイ自身のバイセクシャルであることを公言したことや、宇宙人を思わせる奇抜な衣装やメイク、パフォーマンスによって神格化されていきました。聴衆はボウイ自身ではなく、ジギーを崇拝し、ジギーは虚像のスターとしてロック界の頂点に立ちました。

突然の終焉

しかし、その頂点に達した時、ボウイは突然ジギーを否定し、引退宣言をしてステージから姿を消します。ジギーとしてのパフォーマンスは、1973年7月3日のハマースミス・オデオンでのコンサートが最後とされていますが、その後にもう一度だけ行われました。

楽曲と評価

アルバムには、「Starman」、「Ziggy Stardust」、「Suffragette City」、「Rock 'n' Roll Suicide」など、数々の名曲が収録されています。これらの楽曲は、グラムロックの代表的な曲として、今日でも多くの人々に愛されています。

『ジギー・スターダスト』は、ローリング・ストーン誌の「オールタイム・ベストアルバム500」において、2020年版で40位にランクインするなど、高い評価を受けています。また、収録曲の「ジギー・スターダスト」は、ローリング・ストーンの「オールタイム・グレイテスト・ソング500」や、ロックの殿堂の「The Songs That Shaped Rock and Roll」にも選出されています。

日本での発売

日本盤は、『屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群』という珍妙な邦題で発売されましたが、現行版は簡潔に『ジギー・スターダスト』となっています。

リイシュー

1990年にはEMI（米国ではRYKO）からCD化され、未発表テイクがボーナストラックとして追加収録されました。2002年にもEMIから再発売され、その際は2枚組で12曲がボーナストラックとして追加収録されています。2003年には5.1chサラウンドミックスが制作され、SACDやDVDに収録されています。

『ジギー・スターダスト』は、デヴィッド・ボウイの創造性と革新性が結実した、ロック史に残る傑作です。

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