ジト目

ジト目とは

ジト目とは、主に漫画やアニメーション作品において、キャラクターの感情表現として用いられる視覚的な表現手法の一つです。特に、軽蔑、不信、呆れといった負の感情を表現する際に、その効果を発揮します。

ジト目の描かれ方

ジト目の定義は厳密に定められているわけではありませんが、一般的には、目を細めたり、下半月のような形状に描くことで表現されます。この時、「じとーっ」という擬音を添えることで、その感情をより強調することがあります。

ジト目は、怒りなどの明確な感情を表現する「睨み」とは異なり、より陰湿で、言葉には出さない不快感を表現する際に用いられます。必ずしも恨みの感情を含むわけではありませんが、多くの場合、相手に対する軽度の不快感や不満を表します。イラストレーターによっては、面白さや楽しさといったポジティブな感情を表現するために、ジト目をアレンジすることもあります。

この表現の汎用性の高さから、キャラクターのタイプを表現する手段としても利用されます。例えば、ミステリアスなキャラクター、無気力そうなキャラクター、サド気質のキャラクターなど、様々なキャラクターの個性を際立たせるために、ジト目が用いられます。

イラストレーターの和遥キナは、著書でジト目を描く際のポイントとして、上下のまつげを眉毛と平行に描くことを挙げています。また、カリマリカは、黒目の上部を隠すように描くことが重要であると指摘しています。目を細めても黒目の上部が見えている状態では、ジト目としての表現効果が薄れてしまうからです。

ジト目の発祥

「ジト目」という言葉は、古くから存在する日本語ではなく、比較的新しい俗語です。負の感情を抱きながら相手を見つめる際の「じとーっ」という擬声語が、その語源であると考えられています。

女性向けファッション雑誌『Oggi』によると、「ジト目」という言葉は1970年代後半から小説や映画で使用されるようになったとされています。実際に、1978年公開の映画『九月の空』の脚本には、「（ジト目で見て）」という指示書きが存在することが確認されています。また、1980年代に集英社コバルト文庫から刊行された久美沙織の小説『丘の家のミッキー』などでも、「ジト目」という表現が使用されていたことが確認されています。

ジト目の評価と影響

2020年現在、ジト目は漫画やアニメーションにおける表現方法として、その地位を確立しつつあります。その理由として、『Oggi』は、前述した汎用性の高さを挙げています。様々な感情やキャラクターの個性を表現できる点が、広く受け入れられている要因と言えるでしょう。

女性向け総合サイト「マイナビウーマン」は、ジト目について以下のように評価しています。

（マイナビウーマンの評価をここに追記）

ジト目は、その独特な表現力で、多くの作品に深みと面白さを与えています。今後も、様々な作品で目にすることが増えるでしょう。

参考文献

和遥キナ『筆使いからわかる! SAIお絵描き上達技法』秀和システム、2012年
カリマリカ『キャラクターイラストの引き出しを増やす ポーズと表情の演出テクニック』翔泳社、2022年

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