ジノヴィー・ロジェストヴェンスキー

ジノヴィー・ペトロヴィチ・ロジェストヴェンスキーの生涯

ジノヴィー・ペトロヴィチ・ロジェストヴェンスキー（1848年10月30日 - 1909年1月1日）は、帝政ロシア海軍の少将であり、日露戦争においてバルチック艦隊の司令長官を務めたことで知られています。彼は貴族出身ではなく、軍医の子として生を受けました。1864年に海軍幼年学校に入校し、ペテルブルクのミハイロフ砲術アカデミーを優秀な成績で卒業後、1873年に中尉に任官されました。

ロジェストヴェンスキーの軍歴

海軍入隊当初、彼は砲術試験委員会での勤務を始め、特に電気工学に関心を抱きました。1877年には露土戦争に従軍し、その際に四等ゲオルギー勲章を授与されます。1883年にはブルガリア海軍の司令官となり、バルチック艦隊への参加を果たしました。1894年には、ステパン・マカロフの指揮下で地中海艦隊の「ヴラジーミル・モノマフ」の艦長となります。

1898年に少将に昇進し、教育砲術支隊司令官としての地位を得ると、彼は貴族中心の採用基準について批判的な意見を持っていました。海軍参謀総長として皇帝ニコライ2世からの信任を受けるなど、非常に影響力のある立場にありました。

日露戦争への関与

日露戦争の勃発と共に、ロジェストヴェンスキーはバルチック艦隊（第二太平洋艦隊）の司令長官に任命されます。彼は艦隊の編成を行い、喜望峰経由で極東へ赴くことを提案しました。出航中、艦隊は多くの問題に直面しました。特にドッガーバンク事件の影響で、艦隊の航行は困難を極め、アフリカを廻ってマダガスカルに2ヶ月以上滞在することになりました。この間、後方で第三太平洋艦隊が編成されるも、その艦船は役立たずだと批判されました。

その後、日本海海戦が勃発し、ロジェストヴェンスキーは日本の連合艦隊と交戦します。彼は旗艦「クニャージ・スヴォーロフ」にいたものの重傷を負い、駆逐艦「ブイヌイ」を経て「ベドーヴイ」に移乗することを余儀なくされました。不運にも連合艦隊の駆逐艦に発見され降伏し、捕虜となるという屈辱を味わいました。

東郷平八郎大将との面会時、彼の礼節ある振る舞いに感銘を受けたことが後に明らかになっています。

退役と評価

戦争終結後、ロジェストヴェンスキーは軍法会議にかけられ、敗戦の責任を問われ少将に降格されるも無罪となりました。彼は「敗戦の責任は自分にある」と明言し、1906年に退役し、その3年後に病死しました。彼の砲術に関する研究は高く評価されている一方、バルチック艦隊の指揮官としては無能だと批判されることがありました。しかし、近年発見された手紙から彼が自軍の状況を的確に把握し、勝ち目のない戦いであることを予測していたことが示されています。

航海中の困難

日露戦争時のバルチック艦隊の航海は極めて厳しいものでした。特に寄港地が限られ、燃料供給が困難であったことが影響しました。イギリスの圧力や、その他の要因が重なり、艦隊内の兵士たちは過度のストレスを抱えることになりました。航海中の軍規も弛緩し、逃亡する兵士が続出したという歴史的な背景があります。

ロジェストヴェンスキーの生涯は、海軍の指揮官としての成功と失敗を織り交ぜた波乱に満ちたものであり、彼の評価は今なお議論の的となっています。

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