ジブチ共和国の民族衣装

ジブチ共和国の民族衣装は、同国に住む主要な民族であるイッサ族とアファール族によって、日常着や礼服として着用されています。国土の方針として民族融和が図られているため、都市部では両民族間で共通の衣装が見られます。

男性の衣装

男性の基本的な服装は、洋風のシャツに、膝下丈の木綿製ロインクロス（腰布）を巻いたスタイルです。これは東南アジアの民族衣装にも似た特徴を持ちます。腰布は白地に紺色や深緑色、茶色などの太いチェック柄が一般的で、素材は丈夫な木綿が用いられます。足元は革底に蔓で鼻緒を付けた伝統的な草履風サンダルのほか、ゴム草履やズック靴が履かれます。日差しが強いにもかかわらず、帽子を被る習慣はあまりありませんが、イスラム教徒が国民の9割以上を占めるため、白いターバンや白いキャップを着用することがあります。

男子の正装は、白一色で統一されており、ターバン、房飾りのついたストール、チュニック、腰布、革ベルトに短剣を収める革ケースが含まれます。この装いは、ジブチにおける男性の格式を象徴するものです。

女性の衣装

女性の服装は、ブブと呼ばれる鮮やかなワンピースと、アンダースカート、サンダルで構成されます。ブブは、幅約90センチ、長さ約4メートルの布を二つ折りにして頭を通す穴をくり抜き、腕を通す部分を残して脇を縫い合わせたシンプルな作りです。素材は、上流階級ではシルクが用いられますが、一般的には安価な輸入品のプリント木綿が使われます。アンダースカートもシンプルな構造で、裾が床に着く程度の幅のレース布に紐を通して腰に結ぶだけです。

ブブの丈が着丈よりも50～60センチ長いのは、ウエスト部分で和服の「おはしょり」のように生地をアンダースカートの紐に挟み込み、ブブの裾からアンダースカートが覗くように着るためです。祭礼や結婚式などの正装時には、手持ちの金銀アクセサリーをできる限り身に着ける習慣があります。特に重要なアクセサリーは、イスラム教の習慣である既婚女性が身に着ける「結婚契約書入れ」です。これは、結婚の誓いを交わした契約書を保管するための金銀細工のケースで、肌身離さず持ち歩かれます。祭礼では、頭に鳥の羽飾りをつけ、ヘンナで手足に模様を描くこともあります。

地域による差異

都市部では、上記のような共通の衣装が見られますが、都市から離れた地域では、イッサ族の伝統的な衣装も見られます。これは、一枚の布を胸元に巻き付け、肩や首のあたりで結び、その上から腰に幅広の布を巻くというスタイルです。このような伝統的な衣装は、民族のルーツや歴史を今に伝える貴重な文化遺産と言えるでしょう。

ジブチの民族衣装は、その美しさだけでなく、民族の文化や生活様式を反映する重要な要素です。衣装を通じて、ジブチの豊かな文化に触れることができるでしょう。

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