ジミー・ウェールズ

ジミー・ドナル・ウェールズ（英語: Jimmy Donal Wales、1966年8月7日 - ）は、インターネット百科事典「ウィキペディア」の共同創設者として知られ、ウィキメディア財団の名誉理事長を務めています。また、ウィキウィキサイトのホスティングサービス「Fandom」の共同創設者でもあり、「ジンボ・ウェールズ（Jimbo Wales）」の名でも広く知られています。

生い立ちとキャリア

アメリカ合衆国アラバマ州ハンツビルで生まれたウェールズは、オーバーン大学を卒業後、シカゴの先物オプション企業でディーラーとして働いていました。その後、ティム・シェルと共にBomisを設立し、インターネット上の百科事典プロジェクト「ヌーペディア」を立ち上げます。しかし、ヌーペディアの厳格な査読制度が発展の妨げとなったため、査読者であったラリー・サンガーの提案を受け、ウィキ形式で誰もが自由に編集できる新たな百科事典「ウィキペディア」を創設しました。

ウィキペディアのサーバーはウェールズがカリフォルニアからフロリダへ移住したのに伴い、フロリダ州セントピーターズバーグへ移動。ウィキペディアの急速な成長を受け、2003年には非営利団体「ウィキメディア財団」がフロリダ州タンパに設立されました。2004年には、アンジェラ・ビーズリーとウィキア社を設立し、ウィキを活用した商用コミュニティサイトの運営にも着手。同年、ウィキメディア財団の運営に注力するため、BomisのCEOをティム・シェルに譲りました。財団の理事数が5名に達すると、理事会議長を兼任しましたが、2006年10月に退任し、名誉理事長となりました。その後、財団は会員制度を廃止し、終身会員や終身理事の規定を撤廃。ウェールズも他の理事同様、任期付きの理事となりました。

2004年夏には、講演のため初めてヨーロッパを訪問。以降、世界各地で講演活動や教育関連のシンポジウムに参加しています。現在では、ハーバード大学バークマンセンターの客員研究員やクリエイティブ・コモンズの理事を務めるなど、フリーカルチャーに関わる様々な活動にも携わっています。

私生活では、1997年に結婚しましたが、その後別居。現在はフロリダ州に在住しています。2007年には来日し、ウィキアのプロモーションや公開インタビューを行いました。また、2015年にダン・デイヴィッド賞、2010年にエドゥアルト・ライン財団文化賞を受賞しています。

2017年には、フェイクニュース対策として、プロのジャーナリストとボランティアのコミュニティが協働するニュースサイト「ウィキトリビューン」を立ち上げました。

レイチェル・マースデンとの関係

カナダ人ジャーナリストのレイチェル・マースデンとの短期間の交際も報じられています。この関係は、マースデンのウィキペディア記事に関する彼女からの連絡がきっかけでした。マースデンは自身の記事の削除を求めていましたが、ウェールズは内容を調査し、不十分な点があったため修正を支援したとされています。2008年2月には、二人の交際が報じられましたが、ウェールズはすぐに交際を否定しました。マースデンは、ウェールズが残していったとされるTシャツなどをオークションに出品。この出来事は、ウィキペディアの「利害の対立」に関する議論も呼び起こしましたが、ウェールズはウィキペディアの編集には影響がなかったと主張しています。

ウィキペディア創設者としての役割

ウェールズは、ラリー・サンガーがウィキペディアの共同設立者であることに反論しており、自身のみが創設者であると主張しています。これは、サンガーが雇用されていたという立場に基づいています。しかし、ニューヨーク・タイムズやウィキペディアの初期プレスリリースでは、サンガーが共同設立者として紹介されています。サンガーはウィキペディア初期の開発や方針策定に貢献しており、Wikiシステムを利用した百科事典のアイデアも彼のものでした。一方でサンガーは、全体のアイデアはウェールズのものであり、自身はウェールズの指示のもとで実務を担当したと述べています。

ウェールズは、サンガーの共同創設者としての主張を批判し、ウィキペディアコミュニティにおいて「慈悲深い独裁者」と評されています。

英語版ウィキペディアでの自己編集

2005年、ウェールズは英語版ウィキペディアの自身の項目を編集し、ラリー・サンガーの名前やBomisに関する記述を修正しました。これらの編集は、ウェールズが過去を書き換えようとしていると批判されました。ウェールズは編集を認め、正確性を向上させるためのものだったと釈明し、謝罪しました。

また、ウェールズの誕生日は長年議論の的となっており、公式記録と異なる主張を繰り返していました。最終的にはパスポートのスキャン画像を示し、8月8日生まれであると主張しました。これに対し、ウェールズの運転免許証には8月8日生まれと記載されていますが、母親の証言では真夜中の少し前である8月7日生まれだとされています。

ウィキペディアに対する考え方

ウェールズは、ウィキペディアを原典とせず、あくまで出発点として利用すべきだと述べています。また、ジャーナリズムが新たな情報を生み出すのに対し、ウィキペディアは既存の情報をまとめ、分かりやすく提示することが目的だと述べています。サブカルチャーの話題が多いことについては問題視しておらず、ウィキペディアの参加者は20代後半から30代の大卒で専門職に就く人が多いと分析しています。ウィキペディアのコミュニティはフレンドリーであると評価し、ブログとは異なり、協調性が求められると述べています。

また、大韓民国政府のインターネット実名認証制を自由民主主義にそぐわないと批判しています。

その他

ウィキペディアの運営資金を募るため、自身の顔を掲載したバナーが表示されることがあり、これがジョークのネタにもなっています。また、ウィキペディアの初編集に使用されたパソコン端末とNFT化された初編集画面がオークションで約1億円以上で落札されています。オークションの収益は、ウェールズが運営するソーシャルメディアの資金に充てられています。

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