ジム・カヴィーゼル

ジム・カヴィーゼル：信仰と演技、そして論争の軌跡

ジム・カヴィーゼル（1968年9月26日生まれ）は、アメリカ合衆国を代表する実力派俳優の一人です。珍しい姓であるカヴィーゼルは、スロヴァキアとスイス、アイルランドの血を引く彼のルーツを反映しています。ワシントン州マウントバーノン出身で、敬虔なカトリックの家庭で育ちました。

若き日のカヴィーゼルは、バスケットボールに情熱を注ぎ、NBAを夢見ていました。大学でもバスケットボールを続けましたが、怪我により断念。その後、演劇の世界へと進みます。青春ドラマへの出演経験では、バスケットボールの経験が役立ったという逸話も残っています。

俳優としてのキャリアは1991年にスタートしましたが、地道なキャリアを積み重ね、1998年、テレンス・マリック監督の戦争映画『シン・レッド・ライン』での鮮烈な演技が転機となります。この作品をきっかけに、主役級のオファーが殺到するようになりました。2001年には、ファンタジー映画『オーロラの彼方へ』で主演を務め、この作品はサターン・アウォーズ最優秀ファンタジー映画作品賞を受賞しました。当初は『X-メン』のサイクロプス役にも内定していましたが、スケジュールの都合で降板しています。

2004年、メル・ギブソン監督の『パッション』でイエス・キリストを演じたことは、彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。この作品は、その過激な描写から賛否両論を巻き起こしましたが、カヴィーゼルの熱演は高く評価されました。

その後も精力的に活動を続け、2011年から2016年には、CBSのSF犯罪ドラマシリーズ『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』で、元CIAエージェントのジョン・リース役を演じました。このドラマは高い視聴率を獲得し、カヴィーゼルは2014年と2016年にピープルズ・チョイス・アワードの「好きなTVドラマ俳優部門」にノミネートされるなど、人気を博しました。

私生活では、1996年に結婚し、3人の養子を育てています。彼と妻は敬虔なカトリック教徒であり、中絶に反対する立場を公に表明しています。『パッション』出演以降、宗教的な発言者としても注目されるようになりました。しかし、2021年には、Qアノン陰謀論に関連する発言を行い、物議を醸しました。オハイオ州の教会で行われたイベントで、リベラル・エリートによる子供の人身売買とアドレノクロムの抽出という陰謀論を宣伝したことが報道され、批判を浴びることになりました。

ジム・カヴィーゼルのキャリアは、高い演技力と強い信念によって彩られています。しかし、近年における彼の発言は、彼のイメージに大きな影を落としていると言えるでしょう。俳優としての輝かしい実績と、物議を醸した発言の両面を理解することで、彼の複雑な人物像をより深く理解することができるでしょう。彼の今後の活動にも注目が集まります。

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