ジャスティン・ヴァーノン

ジャスティン・ヴァーノン：音楽の探求者

ジャスティン・ヴァーノン（Justin Vernon）は、1981年4月30日生まれのアメリカ合衆国の音楽家であり、ボン・イヴェール（Bon Iver）のフロントマンとして世界的に知られています。彼は、シンガー、ソングライター、音楽プロデューサー、そしてマルチ楽器奏者として多岐にわたる才能を発揮しています。ボン・イヴェール以外にも、Volcano Choir、Big Red Machine、The Shouting Matches、Gayngsといった様々なバンドやプロジェクトに参加し、音楽的な幅広さを示しています。かつてはDeYarmond Edisonのメンバーとしても活動していました。

生い立ちと音楽への目覚め

ウィスコンシン州オークレアで生まれ育ったヴァーノンは、地元のメモリアルハイスクールに通いました。1998年、高校のジャズキャンプで音楽仲間と出会い、最初のバンドであるMount Vernonを結成します。1999年に高校を卒業後、ウィスコンシン大学オークレア校に進学し、アイルランドでの留学経験も持ちます。大学では宗教学を専攻し、副専攻として女性学を学びました。

キャリアの始まり

2001年の大学在学中に、自身の音楽プロジェクトであるデヤーモンド・エジソン（DeYarmond Edison）を開始し、翌年からバンドとしてのライブ活動をスタートさせました。オークレアの音楽シーンで活動した後、ヴァーノンは4人のバンドメイトと共にノースカロライナ州ローリーへと拠点を移し、新たな音楽性を追求しました。バンドは2004年に『DeYarmond Edison』、2005年に『Silent Signs』という2枚のレコードをリリースしました。

ローリーでの活動から約1年後、ヴァーノンはバンドとガールフレンドとの別れを経験し、2006年に故郷のウィスコンシンに戻ります。デヤーモンド・エジソンの残りのメンバーは、MegafaunとField Reportというフォークバンドを結成し、その後もヴァーノンとの良好な関係を維持しました。

ボン・イヴェールの誕生と成功

2006年にオークレアに戻ったヴァーノンは、自身の音楽プロジェクトであるボン・イヴェール（Bon Iver）を始動させます。自主制作のデモ音源として録音されたデビューアルバム『For Emma, Forever Ago』は、その独特なサウンドと感情的な深さで大きな話題を呼び、世界的なブレイクを果たしました。2011年に発表した2作目のアルバム『Bon Iver, Bon Iver』は、各方面から絶賛され、グラミー賞の最優秀新人賞を受賞しました。その後、2016年に『22, A Million』、2019年には『i,i』をリリースし、ボン・イヴェールはヴァーノンのメインプロジェクトとして精力的に活動を続けています。

コラボレーションとサイドプロジェクト

ヴァーノンは、ボン・イヴェールと並行して、他の音楽プロジェクトにも積極的に参加しています。ヴォルケーノ・クワイアー（Volcano Choir）は、ヴァーノンとミルウォーキーのバンド、Collections of Colonies of Beesのメンバーで構成されたバンドで、2009年にアルバム『Unmap』、2013年に『Repave』をリリースしました。2010年には、ヴァーノンとMegafaun、The Rosebuds、Doomtree、Stay Goldといったバンドのメンバーが集まり、ギャングス（Gayngs）としてアルバム『Relayted』をリリースしました。

また、ヴァーノンはガレージロックバンド、The Shouting Matchesのメンバーでもあり、2008年に制作され未発表となっていたEP『Mouthoil』と、新録のニューアルバム『Grownass Man』が2013年にリリースされました。さらに、カニエ・ウェストの2010年のアルバム『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』の制作に招待され、「Dark Fantasy」「Monster」「Hell Of A Life」「Lost In The World」でボーカルを提供しました。カニエとJay-Zの2011年のコラボアルバム『Watch The Throne』に収録された「That's My Bitch」にも参加し、カニエの2013年のアルバム『Yeezus』では、「I Am a God」「Hold My Liquor」「I'm In It」の3曲に参加しました。

ヴァーノンは、カニエ・ウェストのライブにゲスト出演し、2011年のコーチェラ・フェスティバルでのヘッドライナー公演にも参加しました。2015年には、グラストンベリーのカニエのヘッドライナー公演に出演し、「この地球で一番悪い白人の一人」と紹介され登場しました。2009年には、慈善団体Red Hot Organizationが主宰するエイズ治療支援ベネフィットアルバム『Dark Was the Night』に、Aaron Dessnerとのコラボ楽曲「Big Red Machine」を提供しました。2010年には、アナイス・ミッチェル作詞作曲脚本によるミュージカル『ヘイディズタウン』のコンセプト・アルバムに、オルペウス役として参加しました。

ビッグ・レッド・マシーン

2018年8月、ヴァーノンはThe NationalのAaron Dessnerと共に、ビッグ・レッド・マシーン（Big Red Machine）名義でアルバム『Big Red Machine』をリリースしました。このアルバムは、デスナー、ヴァーノン、ブラッド・クックが共同プロデュースし、Bryce Dessner、Bryan Devendorf、Richard Parryなど、約40人のコラボレーターが参加しました。

オークレア・フェスティバル

2015年7月、ヴァーノンはウィスコンシン州オークレアで、ザ・ナショナルのアーロン・デスナーとオークレア（Eaux Claires）フェスティバルを主催しました。このフェスティバルで、ヴァーノンはボン・イヴェールを3年ぶりに再始動させました。2016年8月には、2回目のオークレアフェスティバルを開催し、ボン・イヴェールは3作目のアルバム『22, A Million』を初披露しました。その後も毎年開催されていましたが、2019年は休止となり、2020年に会場を移して開催される予定でした。

ジャスティン・ヴァーノンの音楽的な探求は、常に進化し続けています。彼の才能と創造性は、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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