ジャッキー・スミス

ジャクリーン・ジル・スミス：イギリス初の女性内務大臣とその波乱の経歴

ジャクリーン・ジル・“ジャッキー”・スミスは、1962年生まれのイギリスの政治家です。労働党に所属し、2007年から2009年までゴードン・ブラウン内閣において内務大臣を務めました。これはイギリス史上、女性として初めての内務大臣就任という快挙であり、首相、外相、財務相と並ぶ主要4大ポスト（Great Offices of State）に就いた女性としては、マーガレット・サッチャー、マーガレット・ベケットに次ぐ3人目でした。

華々しいキャリアの始まりとブレア政権下での活躍

オックスフォード大学ハートフォード・カレッジ卒業後、スミスは1997年の総選挙で初当選を果たします。この年は「ブレア・ベイビー」と呼ばれる多くの女性議員が当選した年でもあり、スミスもその一人でした。その後、政務次官として職業・教育省、保健省などを歴任し、2003年には女性担当政務次官として同性婚に関する政策にも携わりました。2005年には学校閣外相に就任し、その手腕は高い評価を得ました。

ブレア派からの信頼とブラウン政権への参加

2006年には庶民院院内幹事に任命され、当時激化していたブレア派とブラウン派の対立の沈静化に貢献したと評されています。スミス自身はブレア派に属し、ブレア首相とその政策に忠実であったことから、その手腕は高く評価されていました。ブレア首相の退陣演説では涙を流す姿も見られました。

ブラウン首相が就任すると、スミスは内務大臣に抜擢されました。これはブラウン内閣における最大のサプライズ人事の一つでした。しかし、大臣就任早々、ロンドン同時爆破事件やグラスゴー空港テロ事件といった重大事件への対応を余儀なくされます。

スキャンダルと政界からの引退

就任後、スミスは学生時代の薬物使用を告白、さらに夫の有料アダルトビデオ視聴料金を公費で支払っていたことが発覚するなど、一連のスキャンダルに見舞われました。これを受け、スミスは責任を取り、2009年に内務大臣を辞任。スキャンダル以前は、ブラウン首相の後継候補として名前が挙がるほどでした。2010年の総選挙では落選し、政界を引退しました。

私生活

1987年に結婚し、2人の息子をもうけています。サッカークラブ、アストン・ヴィラFCの熱狂的なサポーターとしても知られています。

まとめ

ジャクリーン・ジル・スミスは、イギリス政界における女性リーダーとして大きな足跡を残しました。女性初の内務大臣という偉業を達成する一方、スキャンダルによりそのキャリアは早くも終焉を迎えることとなりました。彼女の経歴は、成功と挫折、そして現代政治の光と影を映し出す、興味深い物語と言えます。

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