ジャック・カゾット

ジャック・カゾット (Jacques Cazotte)

ジャック・カゾットは1719年にフランスのディジョンで生まれ、1792年に亡くなった作家であり神秘思想家です。彼はフランス・ロマン派の先駆者として広く知られていますが、特にフランス革命に対する反対の立場を貫いたことでその名を馳せました。

生涯

教育はイエズス会系の学校で受け、その後法律を学びました。彼は27歳の時、マルティニーク島にある海務局に配属され、イギリス軍の攻撃を防ぎつつ、有力者の娘であるエリザベート・ロアニャンと結婚。結婚によって得た財産を利用し、農場の経営にも力を注ぎました。しかし、1759年に体調を崩し、フランスに帰国。ピエリー村に住居を構え、ここで神秘主義に傾倒するようになります。

海軍省勤務中にも多くの作品を発表しましたが、本格的な著作活動は1760年以降から始まります。彼は自身の土地での気候に適したワインの販売も手掛け、1790年には村長に選出されるなど、地域社会でも重要な立場を築きました。

カゾットは特に空想小説や戯れ歌において成功をおさめ、1762年には詩集『オリヴィエ』を発表。これにより彼は注目を集め、1771年には『にわか貴族』を執筆するなど、その創作活動は多岐にわたりました。

しかし、最も有名な作品は1772年に発表した『悪魔の恋』で、主人公が悪魔を召喚する幻想的な物語として文学界に長く語り継がれています。この作品は美しい設定と緻密な技巧により、今なお多くの読者に読み継がれています。

予言と政治的立場

1775年頃からは自らの予言能力を主張し、イルミナティの思想を受け入れるようになります。1788年にはフランス革命に関する予言を行い、参加者たちに衝撃を与えました。彼は革命が自由と理性によるものであるべきと考え、その実現を求めたものの、次第に革命の暴力的な展開に失望を募らせていきました。カゾットは王党派として名を広め、国王と第三身分の和解を望んでいましたが、革命が王制を倒す方向に進むにつれて、その心情は反革命的に変わっていきました。

1789年、ヴァレンヌ事件に際してはルイ16世に息子を護衛として派遣するなど、忠臣としての行動も見せます。しかし、1792年に反革命的な内容の手紙が発見され、逮捕されてしまいます。彼は一度、娘の弁護により解放されるものの、再度捕らえられ、断頭台で命を落とすこととなります。

影響と遺産

カゾットの死後、1817年には彼の全集が刊行され、著書や予言、裁判記録などが収集されました。これにより彼の思想や作品は後の世に影響を与えることとなり、ネルヴァルの著作にもその姿が描かれています。

彼の作品は今なお評価され、多くの読者に支持される一方、彼の霊能力者としての側面や予言は、神秘思想の理解に役立つ貴重な資料となっています。カゾットはただの文学者ではなく、彼の思想と行動は、フランス革命という歴史的背景の中で一つの重要な象徴として残ることでしょう。

主要な著作

• - 猫の足 (La Patte Du Chat, 1741年)
• - 千と一の無駄話 (Les Mille et une fadaises, 1742年)
• - 悪魔の恋 (Le Diable amoureux, 1772年) など

このように、ジャック・カゾットは文学史において重要な役割を果たし、彼の思想や作品は後の世にわたる影響を及ぼしています。

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