ジャフナ駅

ジャフナ駅の概要

ジャフナ駅（Jaffna railway station）は、スリランカ北部州の州都ジャフナに位置する、スリランカ国鉄ノーザンラインの鉄道駅です。スリランカ最大の都市であるコロンボとを結ぶ特急列車が運行しており、国内でも特に利用者の多い駅の一つとして知られています。この駅は、歴史的に重要な役割を果たしてきましたが、内戦によって大きな被害を受け、一時的にその機能を停止しました。しかし、内戦終結後の復旧工事によって再びその姿を取り戻し、現在に至ります。

建設と初期の発展

19世紀後期、イギリス領セイロン（現在のスリランカ）北部では、南部との交通手段として鉄道を求める運動が活発化しました。1891年にジャフナ鉄道委員会の報告書が発表され、クルネーガラまでの新線（現ノーザンライン）の建設と、クルネーガラからジャフナまでの事前調査が必要とされました。この路線は、ポロガハウェラでメインラインと接続し、コロンボまでの直通列車が運行されることになりました。1892年に路線の建設が認可され、1894年2月14日にはクルネーガラまでの路線が開通しました。その後、1897年12月には「ノーザン鉄道」の建設許可が下り、1899年10月に立法評議会で同路線の建設が承認されました。

1900年1月にはクルネーガラからジャフナを通り、カンカサントゥライまで至る路線の入札が行われ、同年4月から実際に工事が始まりました。同年7月には、ジャフナを含むカンカサントゥライからチャヴァカチェリまでの34km区間の建設も開始されました。1902年3月11日、セイロン総督サー・J・W・リッジウェイによって同区間が正式に開通しました。その後、チャヴァカチェリ - パライ間（23km）が同年9月5日、パライ - アヌラーダプラ間が1904年11月1日に開通し、最後にアヌラーダプラ - メダワッチヤ間が1905年3月11日に開通しました。そして同年8月1日、コロンボからの最初の列車がジャフナ駅に到着しました。当時の所要時間は13時間20分で、カンカサントゥライ - バブニヤ間には単線で16駅、12の停車場が設置されました。

特急の運行開始と繁栄

1956年4月23日には、ジャフナ - コロンボ間を7時間で結ぶ特急「ヤル・デヴィ号」の運行が開始されました。この特急の登場により両都市間の交通は大きく改善され、ジャフナ駅は国内第2位の乗客数を誇る駅となりました。また、この特急の運賃収入はスリランカ国鉄にとって最大の収益源の一つとなりました。当時、ジャフナ駅には毎日旅客列車8本、貨物列車6本が運行され、1980年代初めには1日あたり約6,000人がノーザンラインを利用していました。

内戦による駅機能の停止

1983年にスリランカ内戦が勃発すると、ノーザンラインは兵員輸送手段として利用され、特急ヤル・デヴィ号も反政府組織の攻撃対象となりました。1985年1月19日には、反政府組織TELOによってムッライッティーヴー県を走行中の列車が爆破され、兵員を含む34名が死亡しました。翌1986年3月25日にも、バブニヤ - プリヤンクラム間を走行中の列車が攻撃を受けました。線路はインド平和維持軍（IPKF）によって再敷設され、1987年8月にはジャフナ - コロンボ間の列車運行が再開されましたが、治安が悪化する中で利用者はほとんどいませんでした。1990年にIPKFが撤退すると、LTTEがジャフナを含む地域を占領し、スリランカ政府との間で全面戦争が勃発しました。ジャフナ駅は避難民で溢れましたが、同年8月9日にはスリランカ空軍による爆撃で駅舎が破壊され、列車6両が破壊され、8名が死亡するという悲劇に見舞われました。1990年6月13日にジャフナへ到着した列車は線路が破壊されたためコロンボへ戻ることができなくなり、8月16日にも駅舎が爆撃されるなど、駅は大きな被害を受けました。その後数年間で、カンカサントゥライ - バブニヤ間の線路は完全に破壊され、廃棄された客車はスリランカ軍と反政府軍の陣地として利用されました。

終戦後の復旧工事と再開

1995年にスリランカ政府がジャフナ半島を奪還しましたが、ノーザンラインの復旧工事はしばらく行われませんでした。内戦が終結した後の2009年5月、スリランカ政府はノーザンラインのバブニヤ - カンカサントゥライ間の復旧工事を開始しました。バブニヤからオーマンタイまでの復旧工事はスリランカ軍が担当し、2011年5月27日に完了しました。オーマンタイ - パライ間96kmの復旧工事は、インドの政府系建設会社Ircon International社が受注し、インド政府からのソフトローンで資金が調達されました。2011年6月には、スリランカ鉄道とセイロン銀行の間でジャフナ駅再建計画に向けた合意が締結され、翌月にはパライ - カンカサントゥライ間56kmの建設もIrcon Internationalが担当することが発表されました。このプロジェクトにはインド輸出入銀行からのローンが充てられました。当初の計画では、2013年中にノーザンライン全路線の復旧が完了する予定でした。

復旧工事は順調に進み、2013年9月14日にオーマンタイ - キリノッチ間、2014年3月4日にキリノッチ - パライ間、そして同年10月13日にパライ - ジャフナ間が復旧し、ジャフナ駅は再びその機能を取り戻しました。

ジャフナ駅は、スリランカの歴史と深く結びついた重要な駅であり、その復旧はスリランカの平和と復興を象徴する出来事と言えるでしょう。

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