ジャマイカの世界遺産

ジャマイカの世界遺産は、1983年に世界遺産条約を締結して以来、文化遺産、自然遺産ともに登録はなかったものの、2015年に初の複合遺産として「ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズ」が登録されました。この遺産は、ジャマイカ東部に位置する山岳地帯であり、ブルーマウンテンコーヒーの産地としても知られています。

ブルー・アンド・ジョン・クロウ・マウンテンズ

この複合遺産は、その独特な文化的、自然的な価値が評価されています。文化的側面では、かつて奴隷から逃れて山岳地帯に定住したマルーンの人々の歴史と文化が色濃く残っています。彼らは独自の社会構造や自治組織を築き、その文化は今日まで継承されています。

自然的な側面では、この山岳地帯は生物多様性の宝庫であり、多くの固有種が生息しています。多様な動植物が織りなす生態系は、その保護の重要性を物語っています。

登録に至るまでには、紆余曲折がありました。2011年の第35回世界遺産委員会では、文化遺産要素が「記載延期」、自然遺産要素が「情報照会」と判断されました。しかし、その後の調査と評価によって、2015年に正式登録が実現しました。この登録は、マルーンの歴史と文化、そして生物多様性という、二つの重要な側面が国際的に認められたことを意味します。

過去の登録状況

1988年の第12回世界遺産委員会では、ジャマイカから3件の物件が審議されましたが、「スパニッシュ・タウン」は「登録延期」となり、「ポート・ロイヤル」と「セヴィル」は「不登録」と決議されました。これらの物件は、歴史的、文化的価値を持つものでしたが、当時、登録基準を満たすには至りませんでした。

現在の暫定リスト

現在、ジャマイカの世界遺産暫定リストには、以下の2件が記載されています。

ポート・ロイヤルの水没都市: 17世紀にカリブ海有数の貿易港として栄えたポート・ロイヤルは、1692年の大地震でその大部分が海に沈みました。水没した都市の遺跡は、当時の生活様式を今に伝える貴重な遺産として注目されています。
セヴィル・ヘリテージ・パーク: かつてスペイン植民地時代に重要な港だったセヴィルは、先住民のタノ族の集落跡や、プランテーション時代の建物など、歴史的に重要な遺構が残る場所です。

これらの物件は、今後の調査と準備を経て、世界遺産登録を目指しています。ジャマイカは、その豊かな歴史と文化、そして自然を世界に伝えるため、世界遺産登録に向けた努力を続けています。

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