ジャム・ローリー・ポーリー

ジャム・ローリー・ポーリー（Jam roly-poly）またはローリー・ポーリー・プディングは、イギリスの伝統的なデザートで、19世紀初頭に生まれた料理とされています。この甘いプディングは、主に平らに伸ばした生地にジャムを塗り、ロールケーキのように巻いて、蒸したり焼いたりして作られます。生地の中には、普通ジャムが使われますが、最近ではマーマレードや糖蜜、ドライフルーツを使うことも多く、特に昔はベーコンを使用した甘くないバージョンも存在していました。

興味深いことに、この料理は古いシャツの袖を使って生地を包んで蒸し上げるため、「シャツ・スリーブ・プディング（shirt-sleeve pudding）」とも呼ばれています。また、その見た目から「デッドマンズ・アーム（dead man's arm）」とも称されています。これは主に外観に基づいた愛称で、多くの人々に親しまれています。さらに、有名な料理書『ビートン夫人の料理書（Mrs Beeton's Book of Household Management）』においては、この料理が「ローリーポーリー・ジャム・プディング」として紹介されています。

ジャム・ローリー・ポーリーは、イギリスの学校給食でも定番として提供されています。そのため、多くのイギリス人にとっては子ども時代の懐かしい味として根付いています。甘くて軽やかな味わいは、食べる人々を幸せにし、家庭的な温もりを思い起こさせる一品です。

作家ビアトリクス・ポターは、1908年に「ねこまきだんご（The Roly-Poly Pudding）」という絵本を発表しました。この作品では、屋根裏に迷い込んだ子猫がネズミの夫婦によって、ジャム・ローリー・ポーリーにされるというストーリーが描かれています。この本は後に1926年に「ひげのサムエルのおはなし（The Tale of Samuel Whiskers）」へと改題され、多くの子どもたちに愛される存在となっています。

このように、ジャム・ローリー・ポーリーはただのデザートにとどまらず、文化や教育にまで影響を与える存在です。その歴史と懐かしさは、世代を超えて受け継がれ、今なお多くの人々に親しまれ続けています。

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