ジャモリディネ・アブドジャパロフ

ジャモリディネ・アブドジャパロフは、1964年2月28日、ウズベキスタンのタシュケントで生まれました。1990年にプロデビューし、1997年に引退するまで、数々のチームで活躍しました。彼の持ち味は、何と言ってもその圧倒的なスプリント力でした。ステージレースの区間優勝争いでは常に注目を集め、その強さと、時に見せる荒っぽい走りは、「タシュケントの虎」という異名を生み出しました。通算49勝という記録が、彼の輝かしいキャリアを物語っています。

アマチュア時代から輝きを放つ

アブドジャパロフの実力は、アマチュア時代から高く評価されていました。東欧最大のステージレースであるピースレースなどで勝利を重ね、ソウルオリンピックでは5位入賞を果たしています。これらの実績が、彼のプロとしての活躍を予感させました。

プロデビューとツール・ド・フランスでの活躍

1990年、アブドジャパロフは旧ソ連選手で構成されたアルファ・ルムでプロデビューを果たします。最初の年は勝利を挙げられませんでしたが、翌年にはセミ・クラシックレースであるヘント〜ウェヴェルヘムで優勝し、強豪スプリンターとしての地位を確立しました。

そして、ツール・ド・フランスでは、着実に区間優勝とポイントを重ね、ポイント賞を獲得します。しかし、シャンゼリゼのゴールスプリントでディミトリ・コニシェフと争った際、斜行により道路脇の広告用モニュメントに激突し、転倒。後続車も巻き込む大事故を起こしてしまいます。翌1992年のヘント〜ウェヴェルヘムでも、ゴールスプリントで進路を塞いだマリオ・チポリーニのレーサーパンツを引っ張り、強引に進路を開けさせるという反則行為で失格となるなど、トラブルが続きました。これらの出来事から、彼は「暴走スプリンター」というイメージを持たれるようになります。

しかし、1993年のツール・ド・フランスでは、マリオ・チポリーニ、ウィルフレッド・ネリッセン、ヨハン・ムセウといったライバルたちが序盤のマイヨ・ジョーヌ争いで消耗したのに対し、後半ステージで勝ちを重ね、前年に大事故を起こしたシャンゼリゼで雪辱を果たす区間3勝目を挙げ、2度目のポイント賞を獲得しました。

1994年のジロ・デ・イタリアでは、区間優勝争いでヤン・スヴォラダやエンドリオ・レオーニといったスプリンターに及ばなかったものの、コンスタントにポイントを稼ぎ、ポイント賞とインテルジロ賞の両方を獲得しました。ツール・ド・フランスでは、これまでの危険走行を改め、スマートなスプリントを徹底。区間2勝と3度目のポイント賞に加え、フェアプレー賞も獲得しました。

ロングスプリントへの転向と引退

1996年以降は、スプリント力が若干衰えたため、集団スプリントからゴール数キロ手前で集団から飛び出し逃げ切る、ロングスプリントのスタイルに転向しました。しかし、1997年のツール・ド・フランスでドーピング検査で陽性となり、追放されたことをきっかけに、現役を引退しました。

主な成績

1991年：ツール・ド・フランス区間2勝、ポイント賞、ヘント〜ウェヴェルヘム優勝
1992年：ブエルタ・ア・エスパーニャ区間2勝、ポイント賞
1993年：ツール・ド・フランス区間3勝
1994年：ジロ・デ・イタリア区間1勝、ポイント賞、インテルジロ賞、ツール・ド・フランス区間2勝、ポイント賞
1995年：ツール・ド・フランス区間1勝
1996年：ツール・ド・フランス区間1勝

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