ジャンプLIVE

ジャンプLIVE（ジャンプライブ）とは

『ジャンプLIVE』は、集英社がかつて提供していたスマートフォン・タブレット端末向けのアプリケーションです。2013年8月に配信を開始し、『週刊少年ジャンプ（WJ）』の増刊号という位置づけでした。有料パスは250円（税込）で、様々なコンテンツを楽しむことができました。

デジタル漫画アプリの先駆け的な存在であり、現在の『少年ジャンプ+（J+）』の前身としても知られています。

概要

漫画を中心に、FLASHアニメ、動画、ゲームなど、多様なコンテンツが期間限定で配信されました。閲覧は基本的に無料でしたが、一部コンテンツは有料パスを購入することで利用可能となりました。

『週刊少年ジャンプ』本誌と同様にアンケートシステムを導入し、読者の反応を測る「いいジャン！」ボタンや、Twitterと連携したコメント投稿欄も設置。読者の意見を反映させる仕組みを取り入れていました。

コンセプトは当時の『少年ジャンプNEXT!』に近く、新人育成を目的として、新人作家の作品や『WJ』番外編、新人作家による新作などを掲載。全『WJ』連載作家による1ページ以上のイラストも掲載されました。

『i・ショウジョ』（高山としのり）、『エルドライブ【ēlDLIVE】』（天野明）、『猫田びより』（久楽）など、後の『WJ』や『J+』で人気を博す作品も多く輩出しました。

沿革

前史

2010年代、スマートフォンやタブレットの普及に伴い、電子書籍市場が活性化しました。2013年春から夏にかけて、様々な出版社が漫画電子書籍アプリやWebコミックサイトをリリースしました。

2012年、電子書籍のプラットフォームが整ったことを受け、集英社『週刊少年ジャンプ』編集部もジャンプコミックスを電子書籍で販売するアプリ『ジャンプBOOKストア!』をリリース。100万ダウンロードを突破する大ヒットとなりました。これを機に、『ジャンプカメラ!!』などをリリースし、潜在的な需要の高さを実感。デジタルメディアユーザー向けの本格的な漫画雑誌として、『WJ』増刊号という形で『ジャンプLIVE』を制作することになりました。

将来的な需要を見据え、漫画と動画などのコンテンツを多数盛り込んだデジタル雑誌の創刊が企画されました。担当者の細野修平によれば、前例のない挑戦だったため、当初は社内の理解を得るのが大変だったとのことです。デジタルならではの取り組みが多数行われると同時に、新しい雑誌を創刊する意気込みで制作されました。

第1弾

『WJ』作家陣が多数参加した『LIVE』はヒットし、特に荒木飛呂彦と松井優征による料理動画は大きな反響を呼びました。リリースされると社内でも話題となり、他部署から様々な企画が持ち込まれました。その結果、スポーツ総合サイト『Sportiva』の記事、ファッション雑誌『SPUR』の記事、『週刊プレイボーイ』の『キン肉マン』『マキバオー』などが配信されました。

12月4日には『エルドライブ』『LADY COOL』の単行本が発売。『エルドライブ』単行本は予想以上の売れ行きを見せ、重版もかかりました。ただし短期的な収益は想定されていなかったこともあり、アプリ自体は赤字でした。

『LIVE』掲載作品のうち、『学糾法廷』（榎伸晃）と『ケータイショウジョ』（高山としのり）が『WJ』で連載に昇格しました。

1号終了後、『マンガボックス』（DeNA）など競合アプリ漫画が台頭し、ウェブコミックを取り巻く環境は激変しました。

第2弾

12月20日、第2弾が配信されました。第2弾ではアプリの改良が行われ、ジャンルのバリエーションも増えました。細野は2014年前半に第3弾をリリースしたいと語っていました。小説コンテンツを拡大し、森田まさのりがラジオに挑戦するなど、音声コンテンツも新たに加わりました。

有料パス会員向けに週刊少年ジャンプ2014年3号が配信されましたが、このときはまだ将来的な紙と電子の電子配信の方針は定まっていませんでした。

『LIVE』掲載作品のうち、『ジュウドウズ』（近藤信輔）が『WJ』で連載に昇格しました。

その後

結果的に『LIVE』3号は配信されませんでした。配信するコンテンツが多すぎて、編集部も把握しきれていなかったのではないかと細野は語っています。また、有料と無料のコンテンツが混在し、分かりにくかったことも課題として指摘されました。そこで『LIVE』の反省を踏まえ、仕切り直すこととなりました。2014年3月頃より『WJ』編集部は新漫画アプリのリリース準備に取り掛かり、2014年9月22日、『WJ』電子版やオリジナル作品を配信する『少年ジャンプ+』が創刊されました。

『LIVE』掲載作品のうち、『エルドライブ』、『EXP:0』、『ラフダイヤモンド まんが学校にようこそ』、『はしやすめに 猫田さん』、『ケッパレ 松原さん!』、『i・ショウジョ』、『ゆかりちゃん』、『放課後ましまし倶楽部』、『天神-TENJIN-』が『J+』に移籍しました。

2019年11月現在、『WJ』・『J+』に移籍した『LIVE』出身の作品で連載が継続しているのは『猫田びより』のみです。

主なコンテンツ

『WJ』連載経験者の新作を中心に、連載・読切漫画が多数配信されました。連載中作品のスピンオフ、書き下ろしイラスト、ゲーム、映像、アニメ、小説など、漫画以外のコンテンツも数多く取り扱われました。

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