ジャン＝バティスト・コルベール

ジャン＝バティスト・コルベール

ジャン＝バティスト・コルベール（Jean-Baptiste Colbert、1619年8月29日 - 1683年9月6日）は、17世紀のフランス、ブルボン朝時代の著名な政治家です。彼はルイ14世の下で長らく財務総監を務め、フランスの経済政策に大きな影響を与えました。

生い立ちと初期のキャリア

コルベールは、1619年にフランスのランスで生まれました。スコットランド系の商家に生まれ育ち、20歳になる頃には政府に関わる仕事に就くようになります。彼は陸軍大臣ミシェル・ル・テリエに仕官し、1648年にはマリー・シャロンと結婚し、豊かな持参金を得ました。その年、フロンドの乱が勃発し、ルイ14世は一時国外に脱出することになります。

1651年以降、コルベールはルイ14世の宰相ジュール・マザランに仕え、財政管理を任されるようになりました。1661年にマザランが死去した後、コルベールはルイ14世の親政下で財務を担当することになります。彼は、その後20年以上にわたり、ブルボン絶対主義時代の経済政策を指導しました。

財政再建と重商主義的政策

コルベールの財務総監としての役割は、国の財政再建に向けたさまざまな施策を展開することにより、その重要性を増していきました。彼は「国債は厄介者であり、金利生活者は寄生者である」と述べ、1661年と1664年に債務の大幅なカットを行いました。債権者に対しては厳しい姿勢を崩さず、罰金を課し、法定金利の引き下げも行いました。

コルベールは、収入を増やし、赤字を解消するために、金融業者との癒着を摘発し、税制を整理しました。1681年には間接税の徴税請負制を確立し、直接税の軽減につなげました。さらに、彼は国家の工業発展を重視し、様々な産業の支援を行いました。

特に輸入品に対する高い関税を設け、逆に国内産業の発展を奨励する保護主義的な政策を推進しました。彼の施策の一環として、タペストリー、ガラス、織物、陶磁器などの奢侈品の製造が奨励され、その結果、フランスの産業は大きく発展しました。

植民政策と商法の整備

また、コルベールはフランスの植民政策にも力を入れ、フランス東インド会社や西インド会社など多くの商業会社を設立しました。彼はケベックへの大規模な植民地派遣を行い、フランス領ルイジアナへの植民も推進しました。海軍の強化も同時に行い、貿易路の防衛に努めました。

さらに、コルベールは1673年に商事王令を制定し、これは世界初の成文法に基づく商法として後に評価されることになります。この法令は商業帳簿制度の整備など、近代的な商法の基礎を築くものでした。

文化への影響

コルベールは財政政策だけでなく文化振興にも寄与しました。彼はパリ天文台やガルニエ宮、科学アカデミーの設立に関与し、多くの文化人や科学者を支援しました。特にルイ14世のイメージを高めるために、彼をモデルとした芸術作品の制作を奨励し、文化の発展に寄与しました。

晩年と影響

コルベールは1683年に64歳で亡くなりましたが、彼の施策は後のフランスに多大な影響を与えました。同名の息子や甥も同じく重要な役職を務め、彼の遺産を引き継ぎました。コルベールのいくつかの政策は、後に「コルベルティスム」と呼ばれ、フランスの経済歴史における重要な一歩となりました。

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