ジャン＝バティスト・パテル

ジャン＝バティスト・パテル：ロココ時代の雅宴画を彩った画家

ジャン＝バティスト・パテル（Jean-Baptiste Pater、1695年12月29日 - 1736年7月25日）は、18世紀フランス、ロココ美術の時代に活躍した画家です。彼は特に、優雅な男女が恋の駆け引きや遊戯に興じる様子を描いた「雅宴画（Fête galante）」のジャンルで知られています。

生涯

パテルは、フランス北部のノール県ヴァランシエンヌで生まれました。彼の父、アントワーヌ・パテル（Antoine Joseph Pater : 1670-1747）は彫刻家であり、ジャン＝バティストは幼少期に父から彫刻の手ほどきを受けました。しかし、彼は後に絵画の世界へと進むことを決意し、1709年から1711年頃にかけて、地元のサンルカ組合の画家であるジャン＝バティスト・グイド（Jean-Baptiste Guide）に師事しました。

1713年、パテルはパリへと出て、当時すでに著名な画家であったアントワーヌ・ヴァトー（Antoine Watteau、1684-1721）の弟子となりました。しかし、ヴァトーとの関係は長くは続かず、間もなく不和となり、故郷のヴァランシエンヌへと帰郷しました。2年後、結核によって死の淵にあったヴァトーと和解し、ヴァトーが亡くなるまでの約1ヶ月間、再び師事することとなりました。この短い期間ではありましたが、ヴァトーから直接指導を受けたことは、パテルの画業に大きな影響を与えたと考えられています。

1728年、パテルは王立絵画彫刻アカデミーの会員に選出されました。このアカデミーへの入会は、当時の画家にとって名誉なことであり、パテルの画家としての地位を確立する上で重要な出来事でした。

作品の特徴と評価

パテルの作品は、師であるヴァトーの影響を強く受けています。特に、雅宴画のジャンルにおいては、ヴァトーのスタイルを継承しつつ、独自の表現を追求しました。彼の描く人物は、優雅で洗練されており、色彩は明るく、軽快な雰囲気を醸し出しています。また、風景描写にも優れており、自然の中で戯れる男女の姿を美しく描き出しています。

パテルの作品は、当時の貴族や富裕層に愛好され、多くの作品がコレクターによって収集されました。彼の作品は、ロココ美術の代表的な作例として、現在でも美術館などで鑑賞することができます。

代表的な作品

「水浴」
「音楽の稽古」
「ぶらんこ」
「狩りの休憩」
* 「バッカスの祭り」

まとめ

ジャン＝バティスト・パテルは、アントワーヌ・ヴァトーという偉大な師を持ち、雅宴画というジャンルにおいて独自の境地を開いた画家です。彼の作品は、ロココ時代の優雅さ、洗練さ、そして軽快さを体現しており、今日でも多くの人々を魅了し続けています。

参考文献:
Michael Levey. Painting and Sculpture in France, 1700-1789. Yale University Press.

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