ジュゼッペ・グリソーニ

ジュゼッペ・グリソーニ：国際的に活躍した18世紀の画家

ジュゼッペ・グリソーニ（1699年-1769年）、またはピエール・ジョセフ・グリソーニとして知られるこの画家は、現在のベルギー、モンスで画家の家庭に生まれました。若くしてイタリアへ渡り、芸術家としての道を歩み始めます。

イタリアでの活動：メディチ家とロココ様式

グリソーニはフィレンツェに移り住み、メディチ家の庇護の下で活躍しました。15世紀以降、ストラダヌスやスステルマンス、ファン・ホントホルストといった数々の著名なフランドル人画家がフィレンツェで制作活動を行い、ルーベンスも一時滞在していた歴史を受け継ぎ、グリソーニもその系譜に連なる存在となります。彼は、トスカーナ大公コジモ3世のお気に入り画家として知られ、同時代のフィレンツェで人気を博したトンマーゾ・レディの工房で研鑽を積み、ロココ様式の洗練された技法を習得しました。サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会などの装飾画制作を通して、彼の才能は広く認められていきました。

イギリスでの活動：肖像画と劇場装飾

1715年には、イギリスの古美術研究家であり建築家でもあったジョン・タルマンとイタリアで出会います。その後、二人でロンドンに移り住み、グリソーニは1728年までイギリスで制作活動を行いました。ロンドンでは、主に肖像画を描写する一方、ヘイマーケット国王劇場の仮面劇の舞台美術にも携わり、その作品を残しています。ウィリアム・ホガースも同様の劇場風景画を描いており、グリソーニの作品に影響を与えた可能性も示唆されます。さらに、グリソーニはロンドンで、後に肖像画家として成功を収めるウィリアム・ホーアに絵画指導を行い、後進の育成にも尽力しました。

後年の活動と遺産

1728年にイタリアに戻ったグリソーニは、フィレンツェの美術学校で教鞭をとり、後進の指導にあたりました。その後、ピサで短期間活動した後、ローマに移り、そこで生涯を終えました。

グリソーニの作品は、イタリアとイギリス両国の芸術文化に貢献した証であり、ロココ様式を背景とした洗練された肖像画や、劇場の活気ある風景画など、多様な表現によって特徴付けられます。彼の作品は、18世紀ヨーロッパにおける美術交流の活況を伝える貴重な資料となっています。彼がメディチ家や、著名な画家たちと関わり、イギリスでも活躍した国際的なキャリアは、当時の芸術界におけるグローバルな繋がりを示す好例と言えるでしょう。

参考文献

* Sandro Bellesi, Catalogo dei pittori fiorentini del '600 e '700. Biografie e opere, Polistampa 2009

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