ジュニア・クック

ジュニア・クック

ジュニア・クック（Junior Cook, 1934年7月22日 - 1992年2月3日）は、ハード・バップ期を代表するアメリカ合衆国のテナーサックス奏者です。その力強く感情豊かな演奏は、数多くのグループや自身のリーダー作品で聴くことができます。

生涯とキャリア

フロリダ州ペンサコーラで生まれたクックは、ジャズの道に進み、1958年に高名なトランペッター、ディジー・ガレスピーとの共演を経験します。

彼のキャリアにおける最も重要な期間の一つは、1958年から1964年にかけてホレス・シルヴァー・クインテットで活動したことです。この伝説的なグループのレギュラーメンバーとして、クックはトランペットのブルー・ミッチェルと共にフロントラインを担い、その名を広く知られるようになりました。シルヴァーの作曲した多くの名曲に、彼のテナーサックスの響きが不可欠な要素として刻まれています。この時期に録音されたブルーノートのアルバムは、ハード・バップの金字塔として現在も高く評価されています。

ホレス・シルヴァー・クインテットを離れた後、クックは長年の盟友であるブルー・ミッチェルが率いるクインテットに加わり、1964年から1969年まで活動を共にしました。ここでも、クックはミッチェルのトランペットと緊密な連携を見せ、数々の優れた演奏を生み出しました。

リーダーとして自身の録音を行う傍ら、クックはサイドマンとしても非常に多忙でした。ホレス・シルヴァーやブルー・ミッチェルとの録音に加え、ケニー・バレル、ビル・ハードマン、フレディ・ハバード、シダー・ウォルトン、マッコイ・タイナーなど、多くの著名なミュージシャンのセッションに参加し、その存在感を示しました。

リーダーとしては、ジャズランド、Catalyst、ミューズ、SteepleChaseといったレーベルからアルバムを発表しました。初期の代表作である『ジュニアズ・クッキン』をはじめ、晩年まで精力的にリーダー作品を録音し続けました。

教育活動にも関与し、1970年代にはバークリー音楽大学で約1年間、教鞭をとった経験もあります。

1990年代初頭には、テナーサックス奏者のクリフォード・ジョーダンのグループで共演するなど、晩年も意欲的に活動を続けました。

ジュニア・クックは、1992年2月3日にニューヨーク市内の自身のアパートメントで亡くなりました。

ディスコグラフィ

リーダー・アルバム

『ジュニアズ・クッキン』 - Junior's Cookin' (1961年、Jazzland)
『イチバン』 - Ichi-Ban (1976年、Timeless) ※ルイス・ヘイズとの共同名義
『プレッシャー・クッカー』 - Pressure Cooker (1977年、Catalyst)
Good Cookin' (1979年、Muse)
Somethin's Cookin' (1981年、Muse)
The Place to Be (1988年、Steeplechase)
On a Misty Night (1989年、Steeplechase)
You Leave Me Breathless (1991年、Steeplechase)
『オンケル・ポー・カーネギー・ホール - ハンブルグ 1976』 - Louis Hayes / Junior Cook Quintet at Onkel Po's Carnegie Hall - Hamburg 1976 (2020年、Jazzline) ※ルイス・ヘイズとの共同名義、1976年録音

主な参加アルバム

ホレス・シルヴァー、ブルー・ミッチェルといった主要な共演者との作品は多数に及びますが、その他にも以下のようなアルバムに参加しています。

ケニー・バレル: 『ブルー・ライツ』 (Blue Lights, 1958年、Blue Note)
デイヴ・ベイリー・セクステット: 『ワン・フット・イン・ザ・ガター』 (One Foot in the Gutter, 1960年、Epic)
ロイ・ブルックス: 『ビート!』 (Beat, 1964年、Workshop Jazz)
バリー・ハリス: 『ルミネセンス』 (Luminescence!, 1967年、Prestige)
シダー・ウォルトン: 『シダー!』 (Cedar!, 1967年、Prestige)
ジョン・パットン: 『ザット・サートゥン・フィーリング』 (That Certain Feeling, 1968年、Blue Note)
マッコイ・タイナー: Uptown/Downtown (1988年、Milestone)
バーサ・ホープ: Elmo's Fire* (1991年、SteepleChase)

ジュニア・クックの演奏は、ハード・バップの歴史において確固たる地位を占めており、特にホレス・シルヴァーやブルー・ミッチェルとの共演を通じて、その情熱的で堅実なスタイルを後世に伝えています。

もう一度検索