ジュラシック・パーク/ラプターズ・ハイジャック

『ジュラシック・パーク/ラプターズ・ハイジャック』

『ジュラシック・パーク/ラプターズ・ハイジャック』（Jurassic Park: Raptors Hijack）は、同名映画のシリーズを基にしたコミック作品の一つです。スティーブ・エングルハートがストーリーを手がけ、Topps Comicsから全4冊で出版されました。この物語は、ヴェロキラプトルに焦点を当てたシリーズの第3弾として位置づけられており、前作『ジュラシック・パーク/ラプターズ・アタック』の直接的な続編にあたります。本作品は、総集編「Jurassic Park: Adventures」にも収められており、その後の展開は『リターン・トゥ ジュラシック・パーク』で描かれています。

物語の概要

物語は、映画でお馴染みの主要キャラクターたちが、イスラ・ヌブラル島から逃亡した2匹のヴェロキラプトル、通称「アルフィー」と「セリア」を追跡するところから始まります。アラン・グラント博士、エリー・サトラー博士、イアン・マルカム博士、そしてロバート・マルドゥーンの4人は、ジョン・ハモンドの指示のもと、ヘリコプターで南米コロンビアの広大な熱帯雨林上空を捜索していました。

時を同じくして、地上の熱帯雨林には、バイオシン・コーポレーションの資金提供を受けてゴリラを研究している、ラドンナ・ベルヴェデーレ博士という老年の女性科学者がいました。彼女は、通常アフリカに生息するゴリラを、馴染みのないコロンビアの環境に放してその適応を観察していたのです。

ヘリコプターからゴリラを発見したマルドゥーンたちは、詳細な調査のため地上に降立ちます。そこで彼らは研究対象のゴリラと遭遇しますが、予期せぬことに、ゴリラがエリー博士を誘拐してしまう事態が発生します。緊迫した状況の中、捜索していた2匹のヴェロキラプトル、アルフィーとセリアが現れます。ラプトルとゴリラの間で激しい生存競争が勃発し、結果としてゴリラはラプトルによって倒され、命を落とします。ラプトルたちはゴリラを仕留めた後、その場から去っていきました。

ラプトルとゴリラの死闘を目の当たりにしたベルヴェデーレ博士は、その後アルフィーとセリアと遭遇します。動物行動学者としての強い好奇心から、彼女は危険を顧みず2匹のラプトルの行動を観察し始め、彼らのボディーランゲージを解読して交流を試みるようになります。

一方、インジェン社のハモンド財団では、バイオシン社がイスラ・ヌブラル島からラプトルを秘密裏に誘拐したという情報がハモンドにもたらされます。この卑劣な行為に激怒したハモンドは、腹心の部下であるエドガー・プレイザーに命じ、バイオシン社の施設に対する報復攻撃を計画させます。同時に、消息を絶ったグラント博士たち捜索チームの行方を追うため、現地へ別のヘリコプターを派遣します。

しかし、事態はさらに複雑化します。新しいジュラシック・パークの設立を目論むバイオシン社のヘリコプターが、ラプトルを追うマルドゥーンたちのチームに襲いかかってきたのです。バイオシン社はラプトルを確保し、彼らの野心的な計画に組み込もうとしていました。

バイオシン社に雇われた恐竜の専門家、ジェレマイア・フィッシャー博士は、ラプトルとのコミュニケーションが可能なベルヴェデーレ博士の存在を知り、彼女を自らのパーク計画に不可欠な人材と見なして雇用します。ベルヴェデーレ博士は、アルフィーとセリアの安否を気遣い、やむなくこれに応じます。フィッシャー博士は捕獲したラプトルを厳重な囲いの中に監禁し、研究を開始しますが、ベルヴェデーレ博士はこの非人道的な扱いに深い失望を感じます。

物語のクライマックスでは、監禁状態からアルフィーとセリアが脱走します。彼らは自分たちを扱ったバイオシン社の関係者、そしてジェレマイア・フィッシャー博士に対して容赦なく襲いかかり、殺害していきます。ベルヴェデーレ博士はラプトルとある種の絆が生まれたと信じていましたが、脱走したラプトルたちは彼女をも無視し、命を奪います。実は、雌のセリアは監禁中にアルフィーとの間に子供を産んでおり、最終的にアルフィー、セリア、そして生まれたばかりの子供の3匹のラプトルは、再び広大な森の奥深くへと姿を消していくのでした。

主な登場人物

アラン・グラント博士、エリー・サトラー博士、イアン・マルカム博士、ロバート・マルドゥーン：インジェン社に関連し、ラプトル捜索任務にあたる主要人物たちです。
ラドンナ・ベルヴェデーレ博士（Dr. LaDonna Belvedere）：眼鏡をかけた高齢の動物行動学者。バイオシン社の支援でコロンビアにてゴリラ研究をしていましたが、ラプトルと出会い、彼らの行動を研究し交流を試みます。バイオシン社に協力しますが、最期はラプトルによって殺害されます。
ジョン・ハモンド：インジェン社およびハモンド財団の創設者。バイオシン社のラプトル誘拐を知り激怒し、報復と同時に自身のチームの捜索を行います。
エドガー・プレイザー（Edgar Prather）：インジェン社の人物で、ハモンドの忠実な側近です。
ビル・スタインガーテン（Bill Steingarten）：インジェン社の競合企業であるバイオシン・コーポレーションの会長。新たなジュラシック・パーク計画を推進し、ハモンドと敵対します。
ジェレマイア・フィッシャー博士（Dr. Jeremiah Fischer）：バイオシン社に雇われた恐竜の専門家。新しいパークのためにラプトルを確保し、ベルヴェデーレ博士を利用しますが、脱走したラプトルによって殺されます。

登場する生物

ヴェロキラプトル (Velociraptor)：
「アルフィー」、「セリア」：前作から生き残った2匹のラプトル。コロンビアのジャングルで行動し、ベルヴェデーレ博士と交流した後、バイオシン社に捕獲・監禁されます。脱走後は関係者を殺害し、子供と共に森へ去ります。
* ゴリラ：バイオシン社が研究目的で南米に放した個体。エリー博士を誘拐しますが、ラプトルとの争いに敗れ死亡します。ゴリラは本来、南米には生息しません。

本作品は、映画の主要キャラクターたちが再び恐竜の脅威に直面するだけでなく、企業間の激しい争いや人間の浅はかな野望、そして恐竜本来の獰猛さが織りなす、スリリングな物語が描かれています。特に、ラプトルと人間との複雑な関係性が印象的な作品です。

もう一度検索