ジュリアン・クーリッジ

ジュリアン・ローウェル・クーリッジは、1873年9月28日にブルックラインで生を受けました。彼はアメリカ合衆国を代表する数学者、歴史学者であり、生涯の多くをハーバード大学の教授として過ごしました。

ハーバード大学で学んだ後、英国のベリオール・カレッジでも研鑽を積みました。キャリアの初期には、1897年から1899年にかけてグロトン・スクールで教鞭をとっており、後にアメリカ大統領となるフランクリン・ルーズベルトもこの時期の教え子でした。

私立学校での教職を離れ、ハーバード大学での職を得ることを目指しました。1902年にはアシスタント・プロフェッサーの地位を得ましたが、さらに高度な学術的訓練のため、ドイツのボン大学で博士号を取得する前に2年間休学し、イタリアのトリノで学びました。その後ハーバードに戻り、教職を続けました。フランスのパリ大学で1年間交換教授として教壇に立った経験もあります。一時期、教職から離れて学術研究に専念した時期もあったようです。

第一次世界大戦中には、アメリカ陸軍のフランス海外派遣軍に志願し、少佐の階級にまで昇進しました。その功績が認められ、1919年にはフランス政府からレジオンドヌール勲章シュヴァリエ（騎士）を授与されています。

終戦後、ハーバード大学の教壇に復帰し、正式な教授としての地位を確立しました。1927年には数学科の主任（チェアマン）に任命され、1940年までその重責を担いました。この間、彼は単に教育者としてだけでなく、アメリカ芸術科学アカデミーのフェローに選出されたほか、アメリカ数学協会（Mathematical Association of America）の会長、アメリカ数学会（American Mathematical Society）の副会長を務めるなど、数学界における重要なリーダーシップを発揮しました。

また、1930年から1940年にかけては、ハーバード大学の学部生寮であるローウェル・ハウスのマスター（寮長）を務め、学生の指導にもあたっています。クーリッジの業績の中でも特筆すべきは、数学および数学史に関する数多くの著作です。彼は幾何学を中心に、非ユークリッド幾何学、円と球面に関する考察、複素領域の幾何学、代数平面曲線論、幾何学的手法の歴史、円錐曲線や二次曲面の歴史、そしてアマチュア数学者の数学など、多岐にわたるテーマで専門書を執筆しました。代表的な著書には、『非ユークリッド幾何学の諸要素』(1909)、『円と球面に関する論考』(1916)、『代数平面曲線論』(1931)、『幾何学的方法の歴史』(1940)などがあります。

ジュリアン・ローウェル・クーリッジは、その豊かな学術的キャリアと貢献を経て、1954年3月5日にケンブリッジで80歳でその生涯を終えました。彼の著作は現在も数学史研究において重要な資料とされています。

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