ジュリオ・チェーザレ・プロカッチーニ

ジュリオ・チェザーレ・プロカッチーニ

ジュリオ・チェザーレ・プロカッチーニ（Giulio Cesare Procaccini、1574年5月30日 - 1625年11月14日）は、イタリアで活躍した画家であり、彫刻家でもありました。彼は16世紀末から17世紀初頭にかけて、主にミラノを拠点に活動しました。

彼の生家は芸術家一家として知られています。父親のエルコーレ・プロカッチーニも画家でした。さらに、異母兄にあたるカミッロ・プロカッチーニや、兄のカルロ・アントニオ・プロカッチーニも同じく画家の道を歩んでいます。

ジュリオ・チェザーレが11歳を迎えた1585年、父親は活動の拠点をボローニャからミラノに移し、そこに工房を構えました。ジュリオ・チェザーレも家族と共にミラノへと移り住むことになります。ミラノでは、プロカッチーニ一家はピロ1世・ヴィスコンティ・ボッロメーオといった地元の有力貴族の庇護を受け、ライナーテにあるヴィスコンティ・ボッロメーオの別荘「ニンフェウム」の装飾などを手がけるなど、様々な仕事に従事しました。このミラノへの移住の背景には、故郷ボローニャにおいてカラッチ一族が率いるボローニャ派の勢力が強大化し、活動の場を移す必要があったことも一因であると考えられています。移住後の1590年には、ミラノの象徴であるドゥオーモの建設や管理を担うヴェネランダ・ファッブリカ館で働いた記録も残っています。

プロカッチーニのキャリアは、まず彫刻家として始まりました。ミラノのサンタマリア・プレッソ・サン・チェルソ教会などには、彼が初期に手がけた彫刻作品が現存しています。しかし、およそ1600年頃から、彼は彫刻から絵画へとその主な活動分野を転向させました。この転向については、彼がローマやヴェネツィア、パルマといったイタリアの主要な芸術都市で修行を積んだ成果であるという説が唱えられています。画家としては、1610年に列聖されたカルロ・ボッロメーオ枢機卿を称えるための祭壇画を描いたことを皮切りに、多くの祭壇画制作依頼を受けるようになります。

彼は晩年に至るまで、精力的に祭壇画やその他の宗教画を制作しました。ミラノの美術界を支えたもう一人の重要な人物、フェデリーコ・ボッロメーオ枢機卿からも厚い信頼を得て、そのために多くの作品を制作しています。また、枢機卿の周りには当時の優れた芸術家たちが集まっており、プロカッチーニもジョヴァンニ・バッティスタ・クレスピやピエル・フランチェスコ・マッツケリといった同時代の著名な画家たちと共に共同制作を行う機会がありました。さらに、フェデリーコ・ボッロメーオ枢機卿が庇護したフランドル出身の画家ヤン・ブリューゲルとも共同で作品を手がけた記録が残されており、彼が当時のミラノ美術界の中心人物たちと密接な関係を持っていたことが伺えます。

ジュリオ・チェザーレ・プロカッチーニは、ボローニャの芸術的伝統を受け継ぎつつ、ミラノという新たな地で独自の様式を確立し、マニエリスムからバロックへの移行期におけるミラノ派美術の発展に大きく貢献した芸術家と言えるでしょう。彼の作品は、その劇的な表現や感情豊かな人物描写によって特徴づけられます。

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