ジュリー・デルピー

ジュリー・デルピーの生涯とキャリア

ジュリー・デルピー（Julie Delpy）は、1969年12月21日にフランスのパリで誕生しました。彼女は、俳優の父アルベール・デルピーと母マリー・ピレのもとに生まれ、5歳の時にはすでに父の劇団の舞台に立っていました。デルピーはこの環境で育ったため、演技への興味や才能が小さなころから培われていきました。

彼女の映画キャリアは、1978年に公開されたオムニバス映画『Guerres civiles en France』でのデビューから始まります。この時、ジュリーは「Julie Pillet」という名前でクレジットされました。その後も、1982年に両親が出演した短編映画『Niveau moins trois』に出演して俳優としての存在感を示しました。

1985年、ジャン＝リュック・ゴダールの映画『ゴダールの探偵』での笛を吹く少女役が彼女のキャリアにおいて重要なターニングポイントになりました。続いて、レオス・カラックス監督の『汚れた血』に出演し、ここでの演技は大きな評価を得て、セザール賞の有望若手女優賞にノミネートされました。これによりデルピーは一躍フランス映画界の注目を集める存在となります。

彼女の主な主演作として、ジャン＝ピエール・リモザンの『天使の接吻』、ベルトラン・タヴェルニエの『パッション・ベアトリス』があり、さらにセザール賞の候補にもなりました。しかし、フランス映画界の内情や人間関係に戸惑いを覚え、1990年にアメリカに移住することを決意しました。ニューヨーク大学で映画制作を学び、2001年にはアメリカ市民権を取得しました。

アメリカでの活動を経て、彼女は2002年に映画『Looking for Jimmy』で監督デビューを果たします。さらに、2003年にはミュージシャンとしてもアルバム『Julie Delpy』を発表しました。2004年には、ベルリン国際映画祭で高い評価を受けた映画『恋人までの距離』の続編『ビフォア・サンセット』に主演し、監督のリチャード・リンクレイター、共演者のイーサン・ホークと共同で脚本を執筆しました。この作品はアカデミー脚色賞にもノミネートされ、デルピーは演技だけでなく音楽面でも才能を披露しました。

2013年にはその続編『ビフォア・ミッドナイト』が公開され、再び脚本に関わりました。この作品は評論家からも高く評価され、デルピーは数々の脚本賞を受賞しました。彼女が出演や制作に関与する映画は、感情豊かで鋭い社会的コメンタリーを持つ作品が多く、多くの観客に受け入れられています。

興味深いのは、彼女が過去にタッグを組んだ監督たちとの関係です。特にレオス・カラックスとの共演について「彼とは喧嘩が絶えず、相性は最悪だった」と自ら語っています。一方、ジャン＝リュック・ゴダールとも多くの作品で共演しており、「とても気が合った」と語るなど、対照的な関係を持っていました。

プライベートでは、ドイツ出身の音楽家マルク・ストライテンフェルトとの関係があり、2009年には息子レオが誕生しています。彼女のプライベートもまた、独自の文化的背景を持つものとして注目されています。

ジュリー・デルピーは、女優、監督、脚本家としての多才な活動から、フランス映画界だけでなく、国際的にも成功を収め続けています。彼女の作品は、個人の内面と社会の関係を深く掘り下げるものが多く、今後の活躍も期待されている重要なフィギュアです。

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