ジュリー・ドワロン

ジュリー・ドワロンは、カナダのニューブランズウィック州モンクトン出身の音楽家であり、その才能はボーカル、ギター、写真といった多岐にわたります。彼女の音楽は、囁くような歌声と、静けさの中に力強さを秘めたギター演奏が特徴です。現代の音楽シーンとは一線を画すシンプルなスタイルを追求しながらも、前衛的なミュージシャンから高い評価を得ており、日本でも佐々木敦などが絶賛しています。

フランス系カナダ人が多く住み、英仏両言語が公用語となっているモンクトンで育った背景から、彼女は英語とフランス語を巧みに使い分け、作品を制作しています。その英語の発音には、どこかフランス語訛りが感じられるのも特徴の一つです。

大学時代には写真を専攻し、1999年には写真集「the Longest Winter」をリリースするなど、カメラマンとしても活動しています。夫は画家のジョン・クレイトールで、3人の子供がいます。1999年以降は、家族とともにカナダ第二の都市モントリオールへ移住しました。

経歴

1989年、17歳で当時の恋人リック・ホワイトらと「フォレスト」を結成。翌1990年には、ドラマーのマーク・ガウデッドが加入し、バンド名を「エリックス・トリップ」と改名しました。このバンド名は、ソニック・ユースのアルバム「Daydream Nation」の収録曲から取られています。

エリックス・トリップは、カセットテープとシングルをリリースした後、1993年にサブ・ポップと契約。3枚のアルバムをリリースしましたが、1995年に解散しました。バンド解散後、メンバーそれぞれが新たなバンドを結成する中、彼女は1993年から並行して行っていたソロ活動を本格的に開始。1995年には、自身のレーベルからアルバム「Broken Girl」をリリースしました。この時の名義は本名ではなく、アルバムタイトルと同じBroken Girlでした。

1997年、本名のJulie Doiron名義で「Loneliest in the Morning」をリリース。リサ・ゲルマーノ、ジャイアント・ステップ、ハウ・ゲルブらとレコーディングを行い、彼女の作品の中でも特にダークで憂鬱なアルバムとなりました。その後、サックヴィルへ移住し、現在の夫と出会い、結婚・妊娠・出産を経験します。しかし、彼女はインタビューで「画家である夫の収入は不安定で、幼い子供二人を抱えた私は何もすることが出来ず、結婚してからの二年間は本当に絶望的だった」と語っています。

1999年、夫と子供を連れてモントリオールへ移住。これまでのインディペンデントな活動から一転、米シカゴの「トゥリー・レコーズ」と契約し、精力的に活動を開始しました。カナダのバンド、ウドゥン・スターズとの共作「Will You Still Love Me」と「Julie Doiron and the Wooden Stars」がカナダの音楽シーンでヒットし、カナダのグラミー賞にあたるジュノ賞を受賞しました。

2001年10月には全編フランス語で製作された「Desormais」を、2002年2月には英語で製作された「Heart and Crime」をリリース。同時期にリリースされたこの二作は、ジャケットのデザインが対になっています。（ジャケットの写真は彼女自身が撮影）

2003年、日本のP-VINEレコードが「デゾルメ＋ハート・アンド・クライム」と「ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー＋ジュリー・ドワロン・アンド・ザ・ウドゥン・スターズ」というカップリングCDとして過去の作品を一挙にリリース。このリリースに合わせて、ジュリー・ドワロンは初来日し、全国六ヶ所七公演を行いました。

ディスコグラフィ

Broken Girl (1995) - Broken Girl名義
Loneliest in the Morning (1997)
Julie Doiron and Wooden Stars (1999) - Wooden Starsとの共作
Desormais (2001)
Heart And Crime (2002)
Goodnight Nobody (2004)
Woke Myself Up (2007)
Japanese Release Only
ウィル・ユー・スティル・ラブ・ミー？+ジュリー・ドワロン・アンド・ザ・ウドゥンスターズ (2003)
デゾルメ+ハート・アンド・クライム (2003)

リンク

* Julie Doiron公式ウェブサイト: http://www.juliedoiron.com/

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