ジューンティーンス

ジューンティーンス：自由を祝う日

ジューンティーンス（Juneteenth）は、アメリカ合衆国における奴隷解放を記念する祝日です。その名前は「6月（June）」と「19日（nineteenth）」を組み合わせたもので、「自由の日（Freedom Day）」、「歓喜の日（Jubilee Day）」、「解放の日（Liberation Day）」とも呼ばれます。テキサス州を発祥とし、現在ではアメリカ全土で6月19日に祝われています。

歴史的背景

1865年6月19日、北軍のゴードン・グレンジャー将軍がテキサス州ガルベストンで、テキサス州の奴隷たちに自由を宣言しました。これは、エイブラハム・リンカーン大統領が2年半前に奴隷解放宣言を発布したにもかかわらず、テキサスが地理的に孤立していたため、宣言の実行が遅れた結果でした。

テキサスは奴隷制度を維持していた州の中で最も遠隔地にあり、南北戦争終結後も北軍の影響力が弱かったため、グレンジャー将軍の告知まで奴隷解放が徹底されませんでした。ジューンティーンスは、アメリカにおける奴隷制度の終焉を広く祝う日とされていますが、実際には、憲法修正第13条が批准されるまで、2つの境界州で奴隷制度が合法的に存続していました。

祝祭の始まりと変遷

ジューンティーンスの祝祭は1866年に始まり、当初はテキサス州の教会を中心としたコミュニティの集まりでした。その後、アメリカ南部に広がり、1920年代から1930年代にかけて商業化が進み、食の祭典としての側面が強まりました。

1960年代の公民権運動の時代には、公民権を求める闘いの陰に隠れて一時的に衰退しましたが、1970年代にはアフリカ系アメリカ人の自由と文化に焦点を当てて再び人気を取り戻しました。

21世紀に入ると、ジューンティーンスはアメリカのほとんどの大都市で祝われるようになり、オーパル・リーなどの活動家が、連邦政府の祝日として認定されるよう働きかけました。その結果、2021年6月17日に、ジューンティーンスは11番目の連邦祝日として正式に認められました。

現代の祝われ方

現代のジューンティーンスは、地域のお祭りとして祝われることが多く、奴隷解放宣言の朗読や、「Swing Low, Sweet Chariot（静かに揺れよ、懐かしのチャリオット）」や「Lift Every Voice and Sing（すべての声をあげ歌え）」といった伝統的な歌の斉唱などが行われます。また、ラルフ・エリスンやマヤ・アンジェロウといった著名なアフリカ系アメリカ人作家の作品が朗読されることもあります。

その他、ロデオ、ストリートフェア、バーベキュー、家族の再会、公園でのパーティー、歴史的な再現劇、ミス・ジューンティーンス・コンテストなど、さまざまなイベントが開催されます。ブラック・セミノールの末裔であるマスコゴスは、メキシコのコアウイラ州でジューンティーンスを祝っています。

ジューンティーンスの意義

ジューンティーンスは、単なるお祭りではなく、アメリカの歴史における奴隷制度の終焉を記念し、自由と平等を祝う日です。また、アフリカ系アメリカ人の文化と歴史を次世代に伝える重要な機会でもあります。

近年、ジューンティーンスは、企業や教育機関など、社会全体で認知されるようになり、その重要性がますます高まっています。この日を通じて、私たちは過去の過ちを学び、より公正で平等な社会の実現に向けて努力する必要があります。

関連項目

アメリカ合衆国の奴隷制度の歴史
奴隷解放宣言
* アメリカ合衆国憲法修正第13条

もう一度検索