ジョエル・ホイットバーン

ジョエル・カーヴァー・ホイットバーン（1939年11月29日 - 2022年6月14日）は、アメリカ合衆国の著作家であり、音楽史家としてその名を刻みました。彼は特に『ビルボード』誌のチャートに関する深い知識と、それを基にした研究で知られています。日本語では、ジョエル・ウィットバーンと表記されることもあります。

レコード・リサーチ社の設立と業績

ホイットバーンは、1970年にウィスコンシン州メノモニー・フォールズでレコード・リサーチ社 (Record Research Inc.) を設立しました。彼は『ビルボード』誌の音楽やビデオのチャートを詳細に分析するリサーチャーのチームを組織し、様々なポピュラー音楽のチャートデータに基づいた参考図書を200冊以上も出版しました。現在でも約50冊がカタログに掲載されています。

彼の代表的な著作は、『Top Pop Singles』シリーズです。これは、『ビルボード』誌のポピュラー音楽チャートの歴史を網羅したもので、各楽曲の最高位、チャートインした週数、レコードレーベル、その他の情報に加え、録音やアーティストに関するトリビアが満載です。これらの書籍はエンターテインメント業界、特にDJや音楽ファンにとって非常に重要な情報源となっています。

ホイットバーンの調査対象は幅広く、1890年から現代に至るまでの音楽をカバーし、多岐にわたるジャンルを網羅しています。また、彼はビルボード・ブックスから刊行された『Top 40 Hits』シリーズの著者でもあります。2010年には第9版にあたる『The Billboard Book of Top 40 Hits 1955–2009』が出版されました。

しかし、2014年にレコード・リサーチ社のポール・ヘイニーは、「第10版を出す計画はなく、新たな版が出るとは思えない」と述べています。さらに、『Billboard Book Of #1 Hits』も2018年時点で15年間新しい版が出ていないことから、今後の新版刊行は不透明な状況です。

同社のウェブサイトによると、『Top Pop Singles 1955-2015』は既に刊行されています。

世界最大級のレコードコレクション

ホイットバーンは熱心なレコードコレクターとしても知られ、自宅の地下には世界最大級のコレクションを所蔵しています。彼のコレクションには、『ビルボード』誌のチャートに登場した78回転盤、45回転シングル盤、LP盤、CDのほぼすべてが含まれていると言われています。

ライノ・レコードとの協力

ライノ・レコードとの協力関係も彼の業績の重要な一部です。ホイットバーンは150枚以上のコンピレーションCDをプロデュースしており、その多くは『ビルボード』誌のチャートに基づいて編集されています。

ビルボード誌との長年の提携

ホイットバーンのレコード・リサーチは、『ビルボード』誌にとって最も長く提携してきたライセンス契約者であり、その関係は40年以上に及んでいます。彼の音楽への深い知識と情熱、そして徹底的な調査が、『ビルボード』誌の信頼性を支え、音楽業界に多大な貢献をしてきたことは疑いありません。

日本語訳された業績

彼の著作は日本でも翻訳されており、以下の書籍が刊行されています。

ビルボード・トップ10ヒッツ 1、音楽之友社、1992年
ビルボード・トップ10ヒッツ 2、音楽之友社、1992年
ビルボード・トップ10ヒッツ 3、音楽之友社、1993年
（舟見佳子 訳）ビルボード・トップ40アルバム：1955～1986、音楽之友社、1989年
（久野理恵子 訳）ビルボード年間トップ40&トップ1000ヒッツ：1955-1987、音楽之友社、1989年

外部リンク

公式ウェブサイト

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