ジョン ブル (機関車)

ジョン ブルの歴史

ジョン ブル（John Bull）は、1831年9月15日にアメリカで初めて運転されたイギリス製の蒸気機関車であり、その後1981年にスミソニアン協会によって、世界最古の現役運転可能な蒸気機関車として記録されました。この機関車は、ロバート・スティーブンソン社によって製造され、当初はニュージャージー州で最初の鉄道であるCamden and Amboy鉄道（C&A）のために作られました。最初の名前は「Stevens」で、その後「ジョン ブル」として広まっていきました。

製造と初期の運行

ジョン ブルは、イングランドのニューカッスルで製造された後、大西洋を船「アレゲニー」で渡りアメリカに届けられました。機関車は分解された状態で輸送され、C&Aの技術者であるアイザック・ドリップスによって1831年9月に再組み立てが行われました。組み立ての際には図面や説明書が存在しなかったため、技術者の技術に大きく依存したのです。1831年11月、高名な政治家や名士が試乗会に招かれ、機関車は初めて運転されました。

この機関車は、鉄道が完成するまで保管されていましたが、1833年には馬車により建設工事が続いていました。C&Aの機関車群においてもジョン ブルには1番の番号が与えられましたが、実運転が開始された際、機関士たちによって「古いジョン ブル（the old John Bull）」と呼ばれるようになり、最終的には「ジョン ブル」として知られるようになりました。

1836年9月、ジョン ブルはハリスバーグの運河を利用して初の運行を果たしました。この時、2両の客車を牽引しました。

機構の改良

当初、這機関車は、0-4-0の車輪配置で製造されましたが、線路の状況が厳しいアメリカにおいて脱線が頻発しました。C&Aの技術者たちは、先台車を追加してそれにより機関車が円滑に曲線を通過できるよう工夫しました。また、機関車の前部にはカウキャッチャーや運転台の壁・屋根も設けられました。これにより、運転時の安全性と快適性が向上しました。

その後、ジョン ブルは定置ボイラーとして使用され、1866年に引退し、Bordentownで保管されることとなります。運用終了時には揚水用ポンプや製材所の動力として利用されていました。

保存と展示

C&Aはその後、1871年にペンシルベニア鉄道に買収され、ジョン ブルも展示物として公開されることが決まりました。フィラデルフィア万国博覧会や鉄道博覧会においてもその威容を示し、スミソニアン博物館が1884年に同機関車を購入しました。これが、博物館での初めての大型機関車となりました。

1939年にはペンシルベニア鉄道の工員によって動態レプリカが製作され、スミソニアンはこの機関車を運転可能に保つ努力を続けました。1981年の150周年にあたり、ジョン ブルに火が入れられ、展示が再開されることとなりました。オリジナルのジョン ブルはワシントンD.C.の国立アメリカ歴史博物館に静態保存され、もう一台の複製がペンシルベニア鉄道博物館で展示されています。

結論

ジョン ブルは、蒸気機関車の歴史において重要な役割を果たした機関車であり、アメリカにおける鉄道の発展を象徴する存在です。今でもその先駆的なデザインと影響力を持つこの機関車は、多くの人々に愛され続けています。

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