ジョン・タイラー

ジョン・タイラーの生涯と業績

ジョン・タイラーは1790年3月29日にバージニア州で生まれたアメリカの政治家であり、第10代大統領を務めました。彼は副大統領として就任した後、急逝したウィリアム・ハリソンから大統領の職を引き継ぎました。このような経緯から、タイラーは副大統領から大統領に昇格した最初の人物となりました。

幼少期と初期の経歴

ジョン・タイラー・ジュニアは、当時の政治エリートの家庭に生まれました。彼の父親はトーマス・ジェファーソンと友人関係にあり、広大なタバコ農園を経営していました。幼少期に母親を失ったタイラーは、ウィリアム・アンド・メアリー大学に進学し、17歳で卒業するという早期の成功を収めます。その後、彼はバージニア州下院議員を経て、1825年から1827年にかけて州知事に就任しました。

大統領としての職務

1840年、タイラーは副大統領候補として大統領選挙に立候補し、その後当選を果たします。しかし、彼が大統領に就任する直前にハリソンが死去し、急遽大統領職を引き継ぐことになりました。彼の大統領としての任期中、タイラーは9回にわたり拒否権を行使しましたが、これにより議会との対立が深まることとなります。また、彼はホイッグ党からの支持を得ていましたが、自らの信念を曲げることなく、反発から孤立していくこととなりました。このような背景から、彼は「政党を持たざる男」として知られるようになりました。

重要な政策と業績

タイラーの在任中でもっとも注目すべき出来事は、1845年3月1日のテキサス共和国の併合承認です。テキサスの併合は後の南北戦争の遠因ともなり、彼の大統領としての業績として広く認識されています。また、ホイッグ党がその後彼を追放しようとした際、タイラーは反政府的な立場を取ることになり、政治的緊張が高まりました。

他にも、1842年にはロード・アイランド州でのドアの反乱に対処するため、連邦軍を派兵する決定を下し、反乱を鎮圧しました。この時期、タイラーの政策は南部の州権を支持するものであり、北部基盤のホイッグ党との間に深い溝がありました。

私生活と家族

タイラーは1813年に初婚を果たし、8人の子供をもうけました。彼は歴代大統領の中で最も多くの子どもを持つ人物であり、その中にはエリザベス・プリシラ・クーパーという妻がファーストレディを務めている子供もいます。初婚の妻が1842年に亡くなった後、彼は1844年にジュリア・ガーディナーと再婚し、さらに7人の子供をもうけています。これにより、タイラーは大統領在任中に2度も配偶者を持つこととなった初めての大統領でもありました。

大統領職後と死去

南北戦争の危機が迫る1861年2月、タイラーはワシントンでの講和会議の議長を務めようとしましたが、彼の提案は上院に拒否され、バージニア州の脱退を促しました。最終的には南アメリカ連合に参加し、下院議員に選任されるも、到着前に病気で亡くなりました。タイラーはリッチモンドのハリウッド墓地に埋葬され、その死はアメリカの歴史における特異な出来事の一つとなっています。彼の名前はテキサス州タイラーに受け継がれています。

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