ジョン・ダワー

ジョン・W・ダワー

ジョン・W・ダワー（John W. Dower、1938年6月21日生まれ）は、アメリカの歴史学者であり、主に日本近代史に特化した研究を行っています。彼はマサチューセッツ工科大学の名誉教授であり、アメリカにおける日本占領の研究で特に著名な存在です。また、1970年代における日本近代化論に対する批判も評価されています。

来歴

ダワーは1938年にロードアイランド州のプロビデンスに生まれました。彼はアマースト大学で学び、当初はアメリカ文学に興味を持っていました。しかし、1958年に来日し、金沢市に滞在する中で日本文学への関心が高まりました。アメリカ空軍に勤務した後、1961年には森鷗外に関する研究で修士号を取得し、1962年から金沢女子短期大学で英語を教え始めました。さらに、1963年からは東京の出版社で編集助手としても活動していました。

1965年にアメリカに帰国したダワーは、ハーヴァード大学の大学院に進学し、日米関係を中心に研究を進めました。彼の博士論文は『吉田茂とその時代』に関連する内容であり、1972年に博士号を取得しました。1968年にはアジア学研究者の左翼団体「憂慮するアジア学研究者委員会」を設立し、その後もネブラスカ大学やウィスコンシン大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校などで教鞭を執りました。2010年にマサチューセッツ工科大学を退職しましたが、在職中には「MIT Visualizing Cultures」というオンラインプラットフォームも制作しました。

受賞歴

ダワーの代表的な著作『Embracing Defeat: Japan in the Wake of World War II』は、ピュリツァー賞やバンクロフト賞を受賞しており、さらに第50回全米図書賞のノンフィクション部門でも評価されました。

研究内容と業績

ダワーの研究は多岐にわたりますが、特に戦後日本における政治過程や文化の変容に焦点を当てた著作があります。彼の1979年の著書『Empire and Aftermath』では、吉田茂を「リベラルな自由主義者」としてのみではなく、保守主義者や帝国主義者としての側面も考察しました。このアプローチは、従来の日本史研究に新たな視点をもたらしました。

1986年の『War without Mercy』では、太平洋戦争における日米両国の人種観を分析し、戦争が激化した背景に、双方の蔑視と選民意識があったことを指摘しました。また、1999年の『Embracing Defeat』では、終戦直後の日本にフォーカスし、政治家から一般市民までの声を取り入れ、日米双方の視点から民主主義の定着過程を描き出しています。この作品は大きな反響を呼び、日本でもベストセラーとなりました。

家族・親族

ジョン・W・ダワーは、日本人の妻を持ち、国際的な視野を持つ研究者としての経歴に加え、家庭生活においても日本文化を身近に感じていることでしょう。

著作

彼の著作には以下のようなものがあります。

• - The Elements of Japanese Design: A Handbook of Family Crests, Heraldry & Symbolism (1971)
• - Empire and Aftermath: Yoshida Shigeru and the Japanese Experience, 1878-1954 (1979)
• - War without Mercy: Race and Power in the Pacific War (1986)
• - Embracing Defeat: Japan in the Wake of World War II (1999)

ダワーの研究や著作は、現代の日本研究において重要な影響を与えており、今後の研究や議論の礎となるでしょう。

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