ジョン・バーク (リバティ船)

ジョン・バークの歴史

アメリカ合衆国のリバティ輸送船「ジョン・バーク」は、1944年に運命を共にした悲劇の艦船です。リバティ船は、第二次世界大戦中に大量生産された貨物船で、その一隻であるジョン・バークは、オレゴン州ポートランドにあるカイザー造船所で建造されました。建造の際、キールは1942年11月20日に設置され、わずか33日後の1942年12月13日に進水。艤装の完了後、1942年12月23日にはアメリカ海軍に正式に引き渡されました。船名は、ノースダコタ州の第10代州知事の名に由来しています。

船の構造

ジョン・バークは、中央部に2基の重油ボイラーと1基の3段膨張式レシプロ蒸気機関を備えた構造をしていました。この設計により、1軸のスクリューで駆動し、最大で2,500馬力を発揮しながら、11ノットの速度を維持しました。船体は7つの防水区画に分かれており、上下に2層の甲板が設けられており、48隻のボードデッキには防護のための3インチ砲と20mmの対空機関砲が装備されていました。また、3本のクレーンを使って荷物の積み下ろしを行うための5つの船倉を有していました。乗員たちは、船体中央に設けられた3層構造のブリッジで生活し、そこには無線室や操舵室、船長室が設置されています。全長約129m、全幅17.4mのこの艦は、戦時中の簡素な構造ながらも、機能的な設計となっていました。

沉没の経緯

1944年の下旬、ジョン・バークはシアトルを出港し、グアムにて弾薬を積載。この弾薬はミンドロ島での作戦のために用意され、100隻からなる船団「Uncle Plus 13」を編成し、フィリピンのレイテ湾へ向かいました。12月27日の夜、彼らはレイテ沖に停泊しましたが、翌日の早朝には日本軍の攻撃が予想されて警戒が強まりました。米軍は戦闘機の護衛を付けることができなかったため、船団は防御のための様々な手を打つことが求められました。

12月28日午前8時15分、レーダーが日本機を捕捉し、船団は慌ただしく回避動作を取りました。その後、雲の切れ目から突入してきた6機の神風特攻機のうち、1機がジョン・バークに直撃し、爆発が引き起こされました。幾秒もしないうちに積載された弾薬も誘爆し、壮大なキノコ雲を生じさせました。この衝撃波は周囲の船舶にまで影響を及ぼし、後方の輸送船も沈没する事態となりました。

ジョン・バークの68人の乗員は全員が死亡しました。乗員には航行を担当する船員と防空に当たっていた武装兵士が含まれており、特攻機の名は潜水艦とされている九九式艦上爆撃機であるものの、零式艦上戦闘機の可能性を指摘する資料も存在します。特攻隊の攻撃によって、ジョン・バークはリバティ輸送船の中で沈没した1隻に過ぎませんでした。

沈没したジョン・バークの残骸は、ミンダナオ島の北側、ホキシル島の沖合で海面下457mに位置しています。

この日の戦闘では、他にもリバティ船の「ウィリアム・サージェント・ラッド」や「リューイス・L・ダイチ」が同様に特攻機の攻撃を受けて沈没しています。ジョン・バークの悲劇は、戦争の厳しさと兵士たちの犠牲を物語っています。

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