ジョン・ベイリャル (スコットランド王)

ジョン・ベイリャルの生涯と業績

ジョン・ベイリャル（John Balliol, 1249年? - 1314年11月25日）は、スコットランドの王位に就いた重要な歴史的人物です。彼の在位は1292年から1296年にかけてであり、この期間はスコットランドの王位継承を巡る激しい争いが繰り広げられました。

家族背景

ジョン・ベイリャルの父は同名のジョン・ベイリャルで、1269年に死去しました。母親のデヴォグィラは、ウィリアム1世の弟であるデイヴィッド・オブ・ハンティンドンの娘で、アラン・オブ・ギャロウェイとの間に生まれました。ジョンは、イザベル・ド・ワーレンと結婚し、彼女の父は後にスコットランド総督となるジョン・ド・ワーレンで、イザベルはヘンリー3世の異母妹アリス・ド・リュジニャンの娘です。これにより、彼はエドワード1世の従姉妹とも血縁関係があります。

王位継承争い

1290年、マーガレット女王の死去により、アサル王家の直系が途絶え、スコットランドの王位を巡って13人の王位継承者が現れました。この争いはスコットランド独立戦争の一因ともなりました。1291年、イングランド王エドワード1世がこの問題に介入し、裁定者としてジョン・ベイリャルを王位継承者に選びました。長系継承者であったことが公式の理由とされていますが、イングランド王家との親密な関係や、政治的に操りやすい存在であった可能性も考えられています。

1292年、ジョンはスコットランドの象徴的な場所であるスクーンの運命の石の上で正式に戴冠しました。しかし、王としての実権は薄く、彼はエドワード1世に対する臣従を誓わされ、ほぼ完全な傀儡でした。

疎外と反抗

その後、ジョン・ベイリャルは1294年にフランスへの兵員動員を拒否し、フランス王フィリップ4世との同盟を結びます（いわゆる「古い同盟」）。この行為は、彼がイングランド王に対抗する意志を持っていたことを示しています。1296年4月、彼はイングランド王に対する臣従を拒否し、北部イングランドへの侵攻を決定。最初の攻撃は成功したかに見えましたが、ダンバーでの戦闘で大きく敗北し、7月10日にはストラカスロで降伏し、王冠を放棄しました。

廃位後の生活

廃位されたジョンは長男エドワードと共にロンドンに送られ、そこから3年間ロンドン塔に幽閉されます。1299年に釈放された後、彼はフランスのピカルディの所領に身を隠しました。最終的には、1314年にこの世を去るまで静かな生活を送ったとされています。

子孫

ジョン・ベイリャルと妻イザベルの間には二人の息子がいました。エドワードは1332年から1356年までスコットランド王として在位し、もう一人の息子、ヘンリーは内戦で命を落としました。

ジョン・ベイリャルの生涯は、スコットランドの歴史の中で非常に重要な時期を象徴しており、彼の王位継承争いはスコットランド独立運動の基礎を築くことになりました。彼の選択や行動は、スコットランドの未来に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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