ジョン・ボール (作家)

ジョン・ボール - アメリカの推理作家

経歴

ジョン・ボール（John Ball）は、1911年7月8日にニューヨーク州に生まれたアメリカの推理作家で、特に黒人刑事ヴァージル・ティッブスシリーズで知られています。彼はキャロル大学を卒業後、商業パイロットとしてのキャリアをスタートさせました。

ボールは第二次世界大戦中にアメリカ陸軍に入隊し、飛行教師としての役割を果たしました。戦後はパイロットの職を続けながら、新聞編集者やコラムニスト、さらにはラジオ局の解説者を務めました。多岐にわたる職業の中で彼が興味を持ったのは、小説を書くことでした。

作家活動のスタート

1965年、ボールは長編小説『夜の熱気の中で』を発表し、注目を集めることとなります。この作品は黒人警察官ヴァージル・ティッブスを主人公に持ち、白人支配の南部アメリカを背景にした社会的テーマを扱っています。この本は、アメリカ探偵作家クラブ（MWA）から新人賞を受賞し、彼の作家としての道を切り開きました。

1967年にはこの作品が映画化され、日本では『夜の大捜査線』というタイトルで公開されました。この映画では、シドニー・ポワチエがヴァージル・ティッブスを演じ、その演技が高く評価されました。ボールはヴァージル・ティッブスのキャラクターのモデルとして、空軍の諜報部に勤務していた友人に影響を受けています。

多面的な活動

ボールは執筆活動の傍ら、気圏研究所で広報部長を務めるなど、様々な職務にも挑戦しました。また、警察の技術顧問としても活動し、保安官事務所で予備副保安官としての経験も積んでいます。さらに、カリフォルニア大学サンディエゴ校のミステリ・ライブラリでは理事長および編集責任者としても活躍しました。

彼の私生活では、日系人の作家ナン・ハミルトンと結婚し、多くのミステリ小説やロマンティックな作品を共に生み出しました。ボール自身も合気道の初段に認定されており、文筆活動だけでなく、武道にも関心を寄せていました。

主な著作

ジョン・ボールの作品には、ヴァージル・ティッブスを主人公とするシリーズがいくつかあり、特に以下の著作が有名です：

• - In the Heat of the Night (1965) - 『夜の熱気の中で』
• - The Cool Cottontail (1966) - 『白尾ウサギは死んだ』
• - Johnny Get Your Gun (1969) - 『拳銃をもつジョニー』
• - Five Pieces of Jade (1972) - 『五つの死の宝石』

ボールの他の作品には、ジャック・タロン警察署長をテーマにしたものや、航空小説として知られる『航空救難隊』や『最後の飛行』などがあります。また、彼は1982年に『犯行現場へ急げ』を編集し、翻訳も手がけています。

結論

ジョン・ボールは、社会的なテーマに取り組むことで独自の視点を持った作品を生み出し、アメリカの推理小説の重要な作家の一人としての地位を確立しました。彼の作品群は、今もなお多くの読者に影響を与え続けています。

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