ジョン・モウブレー (初代ノッティンガム伯)

初代ノッティンガム伯ジョン・ド・モウブレー

初代ノッティンガム伯ジョン・ド・モウブレー（John (IV) de Mowbray, 1st Earl of Nottingham, 1365年8月1日 - 1383年1月12日）は、中世イングランドの貴族であり、モウブレー家の重要な人物です。彼の生涯は短いながらも、当時の社会情勢や貴族のあり方を反映しています。

生い立ちと家系

ジョン・ド・モウブレーは、第4代モウブレー男爵ジョン・モウブレーとエリザベス・セグレイヴの長男として、1365年8月1日にリンカンシャーのアクスホルム島エプワースで生まれました。弟に初代ノーフォーク公トマス・モウブレー、姉妹にエリナー、マーガレット、ジョーンがいます。彼は初代ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントから「いとこ」と呼ばれ、王室との繋がりも有していました。

1368年に母エリザベスが亡くなると、ジョンはセグレイヴ男爵を継承したとされています。しかし、エリザベスの母であるノーフォーク女公マーガレットが1399年まで存命していたため、莫大な持参金はマーガレットが管理し、ジョンが相続財産から利益を得ることはほとんどありませんでした。これは、当時の貴族社会における財産継承の複雑さを示しています。

同年、父ジョンが聖地への巡礼の途中、コンスタンティノープル近郊でトルコ人に殺害されたため、ジョンはモウブレー男爵位も継承することになりました。幼くして二つの爵位を継承したことは、彼の人生に大きな影響を与えたでしょう。

騎士叙任とノッティンガム伯

1372年4月、ジョンと弟トマスの親権は、祖母ジョーン・オブ・ランカスターの妹であるウェイク男爵夫人ブランシュに与えられました。これは、幼い貴族の保護と教育が、親族によって行われることが一般的だったことを示しています。

1377年4月23日、後のリチャード2世とヘンリー4世がバス騎士に叙任された際、ジョンも彼らと共に騎士に叙任されました。これは、彼が将来を嘱望された貴族の一人であったことを示唆しています。同年7月16日にリチャード2世が戴冠すると、ジョンはノッティンガム伯に叙せられました。これにより、彼は名実ともに重要な貴族としての地位を確立しました。

さらに、ベッドフォードのウィリアム・ビーチャムの土地の共同所有者として、ジョンとウィリアム・ラティマー（第4代ラティマー男爵）は戴冠式でアルモナー（慈善活動を行う役職）を務める権利を主張し、認められました。これは、彼が社会的な役割も担っていたことを示しています。

若すぎる死と遺産

しかし、ジョン・ド・モウブレーは1383年1月12日、17歳の若さで結婚することなく亡くなりました。彼の死により、ノッティンガム伯位は断絶しました。モウブレー男爵位は弟のトマス・モウブレーが継承し、トマスは1386年1月12日に新たに創設されたノッティンガム伯ともなりました。ジョンはロンドンのフリート・ストリートにあるホワイトフライアーズに埋葬されました。

ジョンの短い生涯は、当時の貴族社会における権力、財産、そして死が密接に結びついていたことを物語っています。彼の死後、弟トマスが家督を継ぎ、より大きな影響力を持つことになります。

初代ノッティンガム伯ジョン・ド・モウブレーは、歴史の表舞台に立つ期間は短かったものの、その存在は中世イングランドの貴族社会を理解する上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

もう一度検索