ジョーイ・クレイマー (ドラマー)

ジョーイ・クレイマー（Joey Kramer）は、1950年6月21日生まれのアメリカ人ドラマーで、ロックバンド「エアロスミス」の創設メンバーの一人です。本名はジョセフ・マイケル・クレイマー（Joseph Michael Kramer）。彼は、そのパワフルで独特なドラミングスタイルで知られ、長年にわたりバンドのサウンドを支えてきました。

生い立ちと音楽への目覚め

ニューヨーク市ブロンクス区で生まれたジョーイは、幼少期、自身の民族的出自を理由にいじめに遭い、喧嘩に明け暮れる日々を送っていました。しかし、ある時音楽に興味を持ち、趣味でドラムやギターを始めます。当初、両親は彼の音楽活動に反対していましたが、音楽への情熱は次第に増していきました。

ボーカルのスティーヴン・タイラーとは、少年時代からの幼馴染で、共に音楽活動に励んでいました。その後、バークリー音楽大学に進学しますが、スティーヴンに誘われ、エアロスミスの前身バンドに参加するため、大学を中退します。

エアロスミスでの活動

エアロスミス結成後、バンドは数々の苦難を経験します。メンバーの離脱など、困難な時期も、ジョーイはスティーヴンやトム・ハミルトンと共に活動を継続しました。1995年には、父親の死という悲劇に見舞われ、重度のうつ病を発症、一時的にバンドの活動から離れることになります。アルバム『ナイン・ライヴズ』のレコーディングには参加できず、代役を立てざるを得ませんでしたが、カウンセリングなどのリハビリを経て、メンバーと和解し復帰。その後、バンドはニューヨークでレコーディングを再開し、アルバムを完成させました。

私生活と自叙伝

2009年、長年交際していたリンダと結婚。連れ子である一男一女の父親となりました。また同年、自叙伝『Hit Hard: A Story Of Hitting Rock Bottom At The Top』を出版し、自身の人生と音楽への情熱を赤裸々に語っています。

バンド名の由来とドラミングスタイル

ジョーイは、エアロスミスの名付け親としても知られています。高校時代、教科書やノートの隅に落書きしていた架空のバンド名がエアロスミスの由来です。ハリー・ニルソンの楽曲「空中バレー」に触発され、このフレーズを思いついたといいます。シンクレア・ルイスの小説『ドクターアロースミス』とは無関係で、「ただ響きがカッコ良かった」と本人は語っています。

彼のドラミングは非常にパワフルで、ライブではソロ演奏で手足や肘、爪先、前頭部を使ったパフォーマンスを披露し、観客を沸かせます。そのエネルギッシュなパフォーマンスは、エアロスミスのライブには欠かせない要素の一つです。

その他の活動

1991年には、アニメ『シンプソンズ』にバンドメンバー全員がゲストキャラクターとして登場。シーズン22の最終話では、メンバーの中で唯一再登場を果たしています。

ジョーイ・クレイマーは、エアロスミスの音楽を支えるだけでなく、バンドの歴史と個性を形成する上で重要な役割を果たしてきた人物です。彼の音楽への情熱と、エネルギッシュなドラミングは、これからも多くのファンを魅了し続けるでしょう。

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