ジョージ・ワシントン (空母)

ジョージ・ワシントン (CVN-73): 日本と深いつながりを持ち、歴史を刻んだ空母

1992年7月4日、アメリカ海軍はニミッツ級原子力空母6番艦「ジョージ・ワシントン」を就役させました。初代アメリカ合衆国大統領の名を冠した同艦は、その艦歴において数々の重要な役割を担い、世界各地でその存在感を示しました。特に、日本との関係は深く、2008年から2015年まで横須賀基地を母港として活動し、2024年には再び日本に配備されることとなりました。本稿では、ジョージ・ワシントンの艦歴と、特に日本との繋がりについて詳細に解説します。

建造から初期の活動

1986年8月25日に建造が開始されたジョージ・ワシントンは、1990年7月21日に進水式を迎えました。就役後、同艦は地中海やペルシャ湾に6度も展開し、多様な作戦活動に従事しました。1994年のノルマンディー上陸作戦50周年記念への貢献や、1996年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争における平和維持活動、イラク南部飛行禁止区域の監視など、その活動は多岐に渡ります。また、イラクへの国連武器査察団の支援や、イラクからの原油密輸阻止にも大きく貢献しました。2004年にはイラク戦争終結後、北部のキルクークに潜伏するテロリストに対する空母による最大規模の攻撃作戦も実施しています。

横須賀配備と歴史的役割

2008年、ジョージ・ワシントンは歴史的な一歩を踏み出します。アメリカ国外の基地を母港とする初の原子力空母として、横須賀基地に配備されたのです。この配備は、日本国民への任務説明のため、アメリカ海軍がマンガ冊子を発行するほど、大きな話題となりました。しかし、同年の航海中に火災事故が発生し、艦長更迭や配備延期といった困難を経験します。

横須賀配備期間中、ジョージ・ワシントンは東日本大震災発生時にも重要な役割を果たしました。SRA（Selected Restricted Availability）期間中だったにも関わらず、福島第一原子力発電所事故への対応のため、早期に出港。佐世保港に寄港しつつ、被災地の状況を綿密に監視し、トモダチ作戦に間接的に貢献しました。2013年には台風30号によるフィリピン被災地への救援活動にも参加するなど、人道支援にも積極的に取り組んでいました。

近代化改修と再配備

2015年、ジョージ・ワシントンはRCOH（Refueling and Complex OverHaul）のため、日本での任務を終え帰国しました。この近代化改修では、艦内ネットワークの更新、レーダーシステムの刷新、新型ミサイルシステムの搭載、そしてF-35C戦闘機の運用に対応するための改修などが行われました。改修作業では、レーザースキャン技術を用いた効率的な作業により、1億ドルものコスト削減を実現したとされています。

2024年、近代化改修を終えたジョージ・ワシントンは、横須賀基地に再び配備されました。これは、横須賀基地に配備されていたロナルド・レーガンが改修に入ったためです。今回の再配備により、アメリカ国外で初めてF-35シリーズ全機種が揃うこととなり、アメリカ海軍の戦略的な存在感を示すこととなりました。

まとめ

「ジョージ・ワシントン」は、その艦歴を通して数々の歴史的出来事に関わり、世界平和と安全に貢献してきました。特に日本との強い繋がりは、同艦が単なる軍艦ではなく、日米友好関係の象徴としての役割も担っていることを示しています。これからも、ジョージ・ワシントンは世界中の海域でその任務を遂行し、その存在感を示していくでしょう。

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